第12話『契約』
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「私と、契約しましょう」
少し震えた声で、立奈が言い放つ。その単語の持つ意味は多くはない。特にこの場合だと一つしかないだろう。
つまり、OI能力者と、魔女として。兵器となるための契約を。
確かに、条件は揃っている。玲人は覚醒済みのOI能力者であるし、立奈もまた魔女である。契約時に必要な契約器には、魔鉄製であるリアクトカメラを使えばいいだろう。
しかし……
「ちゃんと意味を理解して言ってるのか?」
確かに、鉄脈術さえ発動していれば屍武者程度は玲人の敵ではないだろう。だが、そう単純に終わる話ではない。
そもそも、成功するかも分からければ、事が済んだからと言って簡単に解除できるようなものではないのだ。
そういった事実を理解しているのかと、玲人は立奈に問いかける。
「先輩こそわかってますよね。他に方法はないことくらい」
しかし、立奈は逆に問いかけてくる。他の方法とはつまり、玲人と立奈の2人が無事で事態を打破する方法のことだろう。
玲人が時間を稼げば、確かに立奈は燕の元に辿り着くことができるだろう。だがそれは、玲人が犠牲になることを意味する。
立奈にはそれが許容できないのだろう。お互いに助かる方法となると……確かに他に方法はない。
「上手くいくとは限らないぞ」
「大丈夫です」
「……根拠は」
「勘です」
「保証は」
「ありません」
「自信は」
「あります」
「……わかった。鬼でも蛇でも、使えるもんは使ってやる」
立奈の持つリアクトカメラに触れる。いつも使っている時とは違う、カメラを通して立奈と繋がるような感覚が湧き起こる。
「掘削開始、ユア・ブラッド・マイン」
「掘削許可、マイ・ブラッド・ユアーズ」
それは、2人を繋ぐための言葉。産み出された繋がりを経て玲人の世界が立奈に流れ込む。
そして、少女は影に飲まれた
??????????
「んッ……くっ……」
先輩の詠唱が終わった途端、ナニカが私の中に流れ込んでくる。多分これが先輩の歪む世界が流れ込んでくる感覚なんだと思う。
契約を成功させるには、まずこの感覚を乗り越える必要があるらしい。
話には聞いていたけれど……
「ぅ……あぁ!」
なるほど、これは簡単に耐えられそうなものではない。
苦痛か快感か。奇妙な感覚が断続的に流れ込んでくる。
『上手くいくとは限らないぞ』
全くその通りだと思う。私は何を根拠に出来るなんて思ったのだろうか。いや、根拠なんてなかったのか。
自分でもこの行動には驚いた。確かに、二人で助かる可能性が一番高いだろうとは思う。しかしそれも、成功した場合のことだ。失
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