第12話『契約』
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敗なんてしたら無駄に時間が経過する羽目になる。それなのに……
「(先輩だってそれはわかってるはずなのに、賭けてくれた……!)」
つまり、先輩は成功の目があると信じてくれたんだ。その信頼を裏切るようなことはしたくない。
「(飲まれて、たまるか……!)」
目の前が黒く明滅する。視界の端で視界の端で影が蠢く。先輩の歪む世界の影響だろうか。
歯を食いしばって気合いを入れ直す。
ものの
少しずつ
少しずつ
闇が
広がっ
「……おや、珍しいお客さんだね」
??????????
「……!来た!!」
突如脳裏に浮かんだ情報に、契約の成功を確信した。裏庭に面しているガラス戸が破られた音が響く。のんびりしている時間はない。
「行くぞ。《画竜点睛》!」
寝室の扉を開けるのと同時に鉄脈術を行使する。思い切り振りかぶった腕に追随するようにしなるソレは、玲人の思い描いた通りに屍武者の首を打ち据える。
今まさに侵入を果たそうとしていた屍武者は、突然の攻撃に対応できずに無抵抗のまま吹き飛んだ。
振り抜いた拳を屍武者の方へと向け、勢いよく拳を開く。すると、ソレの先端から破裂するように無数の針が飛び出し、追い打ちを仕掛けた。
「これが……鉄脈術か……」
玲人の鉄脈術はどうやらソレ????即ち影を自在に操る性質を持つらしい。
初めての感覚に戸惑っていると、なんの前触れもなく影が消える。そういえば、契約成功時に発動した鉄脈術は、本来の発動可能時間に関わらず10秒程度で消えてしまうと聞いたことがある。
「立奈、もう一度……立奈?」
「……ふぁい?」
立奈の様子がおかしい。再発動しようと声をかけるが、どこかぼんやりとした答えが返ってくる。
目の前で手をひらひらとさせてみるが、見えていないのか反応がない。
「……マズいな」
「何が?」
玲人の呟きに、別の場所から声がかかる。目を向けると、丁度輝橋が庭先に降り立ったところだった。
妙に真剣な顔をした輝橋は玲人と立奈を交互に見ると……
「ヤッちゃった?」
「誤解を招きそうな言い方止めろ」
「……あっ」
「立奈さん!気が付きましたか?」
燕たちと合流してすぐに立奈の意識は戻った。武蔵野がアレコレ質問しているが、特に問題はなさそうだ。
「……なるほど。事情は理解した」
こちらはこちらで、いずもの中で何をしていたかを燕に報告する。思うところはあるようだが、現在の状況を考えてひとまず置いておいてくれるようだ。
話の内容は玲人たちに発現した鉄脈術へと
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