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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
馬鹿にするやつは許さない話
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でも、それにやられるのはお前だ。
「危ない!!」
しかし、以蔵のマスターがそれをかばった。
以蔵を押しのけ、槍の直撃は免れる。
だが、
「ぐ…あぁっ!!」
槍の一撃はマスターを掠めた。
掠めただけだが、その威力は圧倒的。
風は凶悪な衝撃となって腕を抉りとり、二の腕から先を骨も残さず消滅させた。
直撃しなかった馬上槍はそのまま通り過ぎ、近くにあった瓦礫にぶつかると凄まじい音と共に粉々になって消えた。
「な…!マスター!!」
庇い、代償として腕を失ったマスターに以蔵が駆け寄る。
「無事…か、以蔵。」
「わしはどうでもええ!!おまんの方が心配じゃ!!」
首に巻いていた襟巻をマスターの腕にキツく巻き付け、なんとかして止血を試みる以蔵。
そうして彼はこちらに向き、
「おまんら…覚えとれ。次は必ず殺すからの…!!」
マスターをおぶり、最後にそう言って森へと消えた。
「…。」
そうして、また夜の静寂が訪れる。
「お栄ちゃん…。」
「黄衣の王…だっけか?まだ使えるんだナ。」
「あ…うん。」
よく、分からない。
気が付いたら使ってた。
彼をバカにされたら、急に頭の中があつくなって、そうしたら風が僕に集まって…。
「まぁ今回はあいつのおかげで助かったヨ。その…ひぽぐりふ?だったか。」
「うん。」
「慌ただしくて、ちょいとあいつみたいだったナ。」
と、場を和ませる為かお栄ちゃんが言う。
確かに、そうだったかもしれない。
ヒポグリフ・リリィは僕が描いた存在だけど、少し彼を彷彿とさせるところがあるんだと思う。
人懐っこくて、鳴き声がちょっとうるさくて、そして主の僕を助けるために片翼であるにもかかわらずお栄ちゃんのところまで走って助けを呼んだ。
なんとなくだけど、その忠誠心は騎士らしさを感じさせられたんだ。
「見てるかな…?」
「あいつのことサ。マイのことなんざ四六時中見てるだろうヨ。」
夜空を見上げる。
そこには満天の星空と、かつて彼が理性を取りに行った月があるだけ。
アストルフォは天国に行ったわけじゃない。
ただ、英霊の座に還っただけ。
だから遠くから見守っているというのは有り得ない。
けど、
「うん…そうだね。」
きっとどこかで、見てくれているだろう。
またいつか会いたい。
たくさん謝って、たくさんお礼を言いたい。
そうして今度は、僕から言ってやるんだ
女装デートを、しようって。
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