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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
馬鹿にするやつは許さない話
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お栄ちゃんの横に降り立ったのはあのヒポグリフ・リリィだ。
以蔵に羽を切られた際、どこかへ行ってしまったのだと思ったけどそれは違う。
この子は怪我なんか気にせず、僕の危機をお栄ちゃんに知らせるために頑張ってくれたんだ。

「そっか…助けを呼んでくれたんだね。」
「ぴぃ」

そうして、役目を終えたヒポグリフ・リリィは消え去る。
色が消え、線も消え、宙に描いた絵だったものは風に紛れて消えていった。

「マイ、その怪我は…!」

と、僕の両足の怪我を見るなりお栄ちゃんは敵そっちのけで気にし始める。

「ごめん…ちょっと撃たれちゃって。」
「撃たれたァ!?こんっな艶やかなおみ足に血ィ流させる不逞な輩はどこのどいつだい?アンタか?」

と、銃を構えていた以蔵のマスターを見るなりお栄ちゃんは怒りを露わにする。

「私だ。そいつは我らが代表の元へ差し出す。その為に撃った。そして貴様もだ葛飾北斎。大人しく私達と財団本部へ来てもらおう。」
「はぁ…やっぱり財団絡みかい…。」

いい加減にしてくれといった感じでお栄ちゃんは大筆を肩に担ぐ。
呆れてはいるがその目は本気であり、やってきたこの2人を冗談抜きで殺すつもりだ。

「マイを傷つけたんだ。その代償は命二つでも足りはしねぇヨ?」
「はっ!返せん借金なぞ踏み倒すまで。それにおまんがわしの命をとる?絵描き風情が冗談も休み休みー」

以蔵の言葉が、中断させられる。
お栄ちゃんが瞬時に目の前に迫り、筆で殴って黙らせたからだ。

「ぐほぉっ!」

頬を思い切り引っぱたかれ、何が何だか分からぬまま吹っ飛び転がる以蔵。

「なっ、なにが」
「立て。」

慌てて起き上がろうとするも、無防備な横っ腹をお栄ちゃんに蹴飛ばされ、また転がる。
お栄ちゃんは、容赦しない。
特に財団絡みなら。
そして、僕に怪我をさせたと言うのなら。

「ホラどうした?立てヨ。ご覧の通りおれァまだピンピンしてる。」
「こんのぉ…!!絵描きごときにィ…!」

刀を拾い上げ、立ち上がる以蔵。

「ちぇぇりゃあああああああーッ!!!!!」

雄叫びを上げ、刀を振りあげお栄ちゃんに切りかかろうとするもそれは何も無い空を切る。

「当たってねぇ、ぞっ!」

少しだけ身体をずらし、最低限の動きでかわしたお栄ちゃんは筆で奴をかち上げる。

「さァて、幕末にその名を轟かせた四大人斬りの一人だ、せめて派手に描いてやらァ!」

宙に投げ出され、無防備となった以蔵にお栄ちゃんは追い打ちをかける。
両手、その両指に挟んだ小筆で、以蔵に何十発もの攻撃という名の手を加えこんでいく。

僕のお栄ちゃんは、強い。
そんじょそこらのサーヴァントに負けないくらいに。
僕を守るという
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