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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
馬鹿にするやつは許さない話
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、どうやらこの子が彼のマスターのようだ。

「何をしちょる!ここはわしだけでやると言ったじゃろ!!」
「後がない。だったら確実に捉えるため私だってやるよ。その為に学んだ殺しの技術だ。」
「…!」

そういい、女の子はもう片方の足に躊躇なく鉛玉を撃ち込んだ。

「あ…ぐっ…!」
「もう立てないだろう。少し手間どったがこれでまた財団の傭兵に返り咲ける。」
「ざい…だん…?」

そうか…この人達も…!

「みんな僕にゾッコンなんだね。人気者は辛いや。」

ちょっと前のアイツらも僕を狙っていた。
というより、葛城舞という名の僕と僕のお栄ちゃんを見つけるなり、彼らは目の色を変えて死に物狂いで襲ってくる。
あいつのことだ、
捕まえたら何かすごい報酬でもあげるんだろう。
そう、そうするほどまでに、あいつは僕とお栄ちゃんを捕まえたがってるということだ。

「あいつの所に行くつもりなんかないよ。」
「お前は用はなくとも代表がお前に用がある。それに、私達の信用を取り戻す道具にもなってもらう。」

彼女の銃の照準はブレない。
その銃口は真っ直ぐ僕を捉えていた。
隙を見て武器を描き起こし、反撃しようかと思ったがこれではその手を射抜かれるだろう。
そうしたら本当に何も出来なくなる。それだけは避けたい。

「連れていくぞ。以蔵。」
「おう。だが余計な抵抗されちゃ困る。代表は最悪生きておれば問題ないと言ってたからのぉ。」

そうすると以蔵は、僕に近付くと刀を振り上げる。

「その両手は、邪魔じゃア!!!」

振り下ろされる刀。
何かをしようにも、とうに万策尽きている。
逃げ出せない、戦えない。
ただ避けようのない痛みに覚悟を決めることしか出来ない。
そう、思ったが…

「ぐぅっ!?」

以蔵が刀を落とす。
予想外の痛みに何事かと思えば

「な、なんじゃあ!?」

手の甲に筆が突き刺さっていた。
そして

「どきナ!!」
「!?」

後ろから、大筆を振りかざして現れたのは僕のサーヴァント。
筆を振るえば大波が襲い、以蔵を大きく吹き飛ばす。

「んのぉっ!!」

体勢を立て直し、なんとかとどまる以蔵。

「ほぉ…おまんがこいつのサーヴァントか。」
「あぁいかにも。おれがマイのさあばんと、葛飾北斎だ。」

大筆をくるりと回し、地面にトンと突いて現れたのは僕のサーヴァントの葛飾北斎。お栄ちゃんだ。

「お栄ちゃん!?」
「随分と帰りが遅いもんでナ。思わず迎えに来ちまったヨ。」

思わぬ助けにほっと安堵するも、どうして僕の居場所が分かったのか、
答えは簡単だった。

「ぴぃ!」
「こいつが大慌てで家に飛んできてナ。そんで後を追ってみりゃこれだ。」

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