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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第三章 〜心の在処〜
その二
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ではあるが周囲に被害をもたらしてしまった事がある。ましてや引き上げられ、強化された魔力を所持していたと思われる一号体なら、周囲への被害は柳哉達のそれとは比較にならないだろう。
 そして二号体。クローン技術は人界にも存在するが、まだ多くの問題を抱えている。その一つが複製された遺伝子情報の劣化が速いこと、すなわち寿命が短い、ということだ。おそらく二号体は実験に協力することでその命をすり減らし、結果として予想より早く死に至ってしまったのではないだろうか。
 そこまで考えたところで顔を上げる。

「お帰り、菫」

「ただいま帰りました、兄さん」

 ストレリチア女学院中等部の制服に身を包んだ妹の姿を確認し、声をかける。

「確か、今日は母さんは遅くなるんだったな」

「はい、新作のお披露目が近いそうですよ」

 そうか、と言って黙り込む柳哉。

「何か、ありましたか?」

 疑問系ではあるものの、何かあったと既に確信した口調の菫。

「ああ。夕食後、話したい事がある」

「分かりました」

 どうやら、とても重要な話のようだ。

「それで、夕飯は何にしますか?」

「ああ、そうだな……」

 重い雰囲気を吹き飛ばすかのように軽く質問してきた妹に内心で感謝しながら柳哉は答えた。


          *     *     *     *     *     *


「そう、ですか……」

 夕食後、兄からを話を聴いた菫が口にする。

「あまり、驚いてないな」

「ええ。何となく、そうじゃないかな、と思っていましたから」

 お母さんは隠し事があまり上手ではありませんから、と笑う菫。しかしすぐに真顔に戻る。

「今このタイミングでそれを私に話すのは何故ですか?」

「ああ、むしろこっちの方が本題だ」

 そうして兄の口から語られた内容は一種信じ難いものだった。しかし、兄の表情は真剣そのものだ。

「間違っている可能性はある。というか間違いであってほしい。下手を打てば……分かるだろう?」

「確かに、向こうの出方次第では……」

 色々と不味い事になる。何より……。

「認める訳には、いきませんよね」

 頷く事で同意する柳哉。これは慎重に事を運ばなければならない。

「それで、具体的には……接触は、避けた方がいいですね」

「いや、むしろ接触してしまった方がいいだろう」

 何故ですか? と問う妹に言う。

「別に会うだけが“接触”じゃないだろう?」

「……成程、それならば早いほうがいいですね」

「まあ、そんなに急がなくてもいいが、早いほうがいいだろうな」

「丁度いいものがありますよ。少し待っていてください」


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