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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第三章 〜心の在処〜
その二
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のを感じた。で、プリムラ本人のことなんですけど、と続ける。

「一号体は強化された魔力を扱い切れず、二号体はクローンであるが故の細胞の劣化によって、残念な結果になった。プリムラの感情表現が希薄なのもその辺りに理由があるのでは?」

「……!」

 ネリネの表情が(こわ)ばる。同時に少し顔色が悪いことにも気づくが、あえて気づかない振りをしておく。今自分がネリネに言えることなど無いだろうから。

(恐ろしい子だね……少し、警戒する必要があるかもしれない)

 僅かな情報からここまでの推測を立てる。少なくとも十六歳の少年にしては規格外と言っていい。

『別にプリムラやあなた方に危害を与えるつもりはありませんよ』

「!」

 まるで心を読んだかのような柳哉からの念話に思わず息を飲む。

「魔王様? あの、どうかされました?」

「いや、何でもないよ」

 笑って楓に答える魔王。柳哉は素知らぬ顔をしている。

(神ちゃんにも協力してもらって、本格的に調べた方がいいかもしれないね)

 魔王としてだけでは無く、個人としても興味の湧いてきた、水守柳哉という少年のことを。


          *     *     *     *     *     *


 家路に着きながら、柳哉は考えていた。

(あの様子だと、かなり警戒されてるだろうな)

 試しに念話で話しかけた時の反応はそう考えるに足るだけの説得力があった。

(少し、やりすぎたかな……)

 ユグドラシル計画、そして人工生命体。否応無しに柳哉の知る“彼女達”の過去を思い出す。“彼女達”がこの事を知ったらどう思うだろうか? そのせいか、少し頭に血が上っていたようだ。無理も無い。柳哉の知る“彼女達”の過去はまさに“凄惨”と表現するに値するものだからだ。

(ユグドラシル計画、か。だがあのお二方が果たしてそんな計画を承認するだろうか?)

 確かに一理ある。あんな人体実験まがいの計画を考え、立案するような両王ではないだろう。ただでさえ、非常に家族想いな王様達だ。しかし、それだけで務まる程、王という立場は甘くない。それが国民(この場合は世界民か?)からの要望、しかも多数などであれば無視など出来ない。民あってこそ国は成り立つ。王もまた同じ。

(始めた理由はどうあれ、犠牲者が出ている以上、やめるわけにはいかなくなっている、とか)

 魔王は詳しく説明しなかったし、柳哉も詳しく聞こうとはしなかったが、一号体はおそらく魔力の暴走で死んだのだろう。その際、周囲へも甚大な被害が出たのではないか? 制御しきれない巨大な力は恐るべき凶器となる可能性を常に内包する。柳哉や菫も玲亜から受け継いだ高い魔力を上手く制御できず、微々たるもの
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