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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
かくしてアイドル対決は、阻まれる(後編@)
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解する。
ああ、この人もまた、酷く辛い思いをしてきたのだろうと。

「悲劇のヒロイン…じゃない?」
「ああ、そうだよ。」

ソフィーの言葉に、真誉の顔が歪む。
先程までの笑顔から一転、彼女の顔は喜びから悲しみの表情へと変わった。

「なんで…そんなこと言うの?」

ゾクリとした寒気。
何か嫌なものが背筋を駆け抜け、二人の第六感が警笛を鳴らす。

「ひどい、ひどい、ひどい、私はかわいそうなのに…。ねぇそうでしょ!?桜ちゃん!!」

脇に抱えていた人形を両手で持ち、語りかける。
人形は喋らない、感情もない。生きてもいない。
だが彼女はまるで友達かのように話しかける。

「ねぇ?そうだよね?そうだよね?私は悲劇のヒロインだ。桜ちゃんみたいな…かわいそうな悲劇のヒロインなんだ!ほら!!桜ちゃんもそう言ってる!」

少しボロボロのそれは何も言ってはいない。
必死の形相で彼女はそう訴えかけるも、ソフィーと葵は不気味さしか感じなかった。

「桜ちゃんみたいになりたいんだ!かわいそうで、たくさん嫌な目にあって!みんなに嫌われて…それから、それから…!!」
「葵ちゃん。あの子はかなりイカれてる。」
「見ればわかるよ。」

残念だがこれ以上悲劇のヒロインの解説に付き合っているつもりは無い。
こちらには時間が無いのだ。
だから、すぐに終わらせる。

「アンタが悲劇のヒロインだとかそういうのはどうでもいいんだよ。とっととこの屍の群れを引かせて、紫式部の呪いを解け。」
「…。」

ずるりと、彼女の周囲に人型の影が複数現れる。
つまりは、抵抗するつもりらしい。

そして葵とソフィーが動くのと、影が腕を鞭のように振るって攻撃するのはほぼ同時だった。

目標を失った鞭が床をえぐり、コンクリートをはじけさせる。
葵は駆け、ソフィーは飛んだ。

「キミが自分を悲劇のヒロインと思い込むのなら!その座から降りてもらうよ!!」

ソフィーが御札を投げる。
周りにいた影により叩き落とされるが、それはあくまでカムフラージュ。
本来の目的は

「今だ!!葵ちゃん!!」
「ッ!!」

葵の拳が、真誉の頬にヒットする。
予想だにしなかった攻撃。
注目を空に上がったソフィーに集め、葵は陸から影達の間を縫うように走り抜け、こうして懐まで潜り込んだのだ。

さっきも言ったが女だろうが容赦しない。せっかく綺麗に整ったその顔も、遠慮なく殴らせてもらった。

「…!」

殴られ、吹き飛ぶ真誉。
それに対し葵は走り、さらに追撃をかける。
起き上がろうとした彼女の胸ぐらを掴み、強引に立たせてあげた。

「けふ…ひどいよ葵ちゃん。顔殴るんだね。」
「関係ない。今すぐ紫式部の呪いを解け。そうすればこ
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