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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
かくしてアイドル対決は、阻まれる(後編@)
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「具合はどうかしら、紫式部?」
「ええ、なんとか…。」

葵様とソフィー様が元凶を倒しに向かってから早三十分。
香子はへカP様に連れられステージ裏にあるそふぁに寝かさせてもらっていました。

「思ったより呪いの進行が早いわね…。」
「はい…これでも進行を遅くするのがやっとで…。」

呪いは未だに香子の体を蝕みつつあり、その侵食は予想以上に早い。
油断していた、
まさか探知しようとしたら複雑かつ強力な呪いをかけられるなどという考えはなかったから。

晴明様に教わり、陰陽術の心得があるものの、せめてできることはほんの基本的なこと。
応用や複雑な術は使えず、さらにこの呪いは熟練の陰陽師によるものでしょう。
だって対魔力のあるサーヴァントですら呪い、こうして地獄の女神であるへカP様をも困らせているのですから。


?



「これならどうだ!!白蓮様!射命丸!力を借ります!!」

瞬間、ソフィーがすさまじい速度でチェルノボーグに迫る。
超高速からなる速さと重さを備えた超速連撃。
しかしチェルノボーグは少し仰け反る程度でまともにダメージが入ったとは思えない。

「こ…のぉッ!!!」

全体重を乗せ、かかと落としをおみまいするも受け止められる。
悪神チェルノボーグはその四つ目と、肩にはめられた左右の頭骨の目を赤く光らせ、荒ぶる。

「…っ!!」

振るった槍は豪風を巻き起こし、災厄を振りまく。
一撃一撃が地面をえぐり、掠っただけでも致命傷になりえた。

「くそ…このままじゃ葵ちゃんが…!」

ちらりと目を横に向けると、そこにはこの事件の首謀者、森川真誉と戦う葵の姿が。

「なんで…こんなことを!!」
「さっき言ったじゃん。楽しいからだよ。」

戦う、とは言っても真誉はただ歩くだけ。
葵を殺そうとするのは彼女の周囲に展開する黒い鞭。
それは振るうだけでコンクリを砕き、どれほどの威力かは嫌でもわかる。
葵はそれをギリギリで躱し、あるいは殴って相殺し防戦一方に陥っていた。
このままじゃいけない。
しかしその前に悪神チェルノボーグを始末しなければならない。
とはいえこの森川真誉という女は何者なのか?
陰陽師を自称してはいるが鞭や人影を創造する謎の術や大量の屍を操り、さらにはスラヴ神話に伝わる死神、冥府の神や黒き神と恐れられるあのチェルノボーグを喚んだ。
どう見てもただものでは無い。

「ふざけんなッ!!」

葵の回し蹴りが黒い鞭にヒットし、跳ね返る。
あまりにも勢いのある攻撃だったのだろう。跳ね返ったそれは守るはずの主の頬を、僅かに掠めた。

「…?」

小さな切り傷が出来、つぅっと血が垂れると真誉はそれを手で触れて確かめる。

「わぁ…。」


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