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麗しのヴァンパイア
第四百二十九話

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                 第四百二十九話  珍味
 日本酒が来た、そして肴は。
「枝豆とこれは」
「はい、このわたです」
「海鼠の内臓です」
「そちらになります」
「このわた。聞いたことがあるわ」
 カーミラは杯を手に応えた。
「珍味だそうね」
「海鼠一匹丸ごと手に入りまして」
「後でそちらもお出ししますが」
「まずはこちらもと思いまして」
「お出ししました」
「そうなのね。しかし海鼠が一匹丸ごと手に入るなんて」
 カーミラは微笑んで述べた。
「よかったわね」
「これがまた活きがよく」
「実に美味しそうです」
「明石でもかなりのものでした」
「それで買いました」
 使い魔達は自分達の主にさらに話した。
「そうしましたので」
「是非お楽しみ下さい」
「枝豆もそうですが」
「このわたもまた」
「わかったわ」
 カーミラはここでも優雅に笑った、そうして漆塗りの箸を手にしてそのうえでこのわたを食べた。すると。
「これはまたね」
「美味しいですか」
「お気に召されましたか」
「ええ、いいものね」 
 実際に食べてみての感想であった。
「これはまた」
「それは何よりです」
「ではお楽しみ下さい」
「量は少ないですが」
「それでも」
「そうさせてもらうわ。そしてね」
 カーミラはさらに言った。
「お酒もね」
「飲まれますね」
「そちらも楽しまれますね」
「そうされますね」
「そうするわ。ではね」
 杯を空けてまた言った。
「もう一杯お願いするわ」
「お好きなだけどうぞ」
「どんどん飲まれて下さい」
「そうされて下さい」
「そうさせてもらうわ」
 カーミラも応えてだった。
 入れてもらった酒をまた飲んだ、そうして楽しむのだった。


第四百二十九話   完


               2021・12・16
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