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ドリトル先生とめでたい幽霊
第七幕その九

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「最近までだったんだ」
「なくて」
「それでだね」
「皆食べなかったのね」
「そうだったんだね」
「嫌いな人も多かったよ」
 関西ではというのです。
「昭和まで食べる人は少数派だったしね」
「三十数年位まで」
「それまでだったんだ」
「結構最近までだね」
「昭和だと」
「昭和の終わりでも食べる人は少なくて」
 それでというのです。
「関西じゃ変人扱いされていたんだ」
「それは凄いね」
「確かに癖の強い食べものだけれど」
「それでもその扱いはね」
「ちょっとないね」
「大阪でもお豆腐はよく食べるけれど」
 お豆腐も大豆を使ったものなのでこう言いました。
「けれどね」
「納豆はだったんだ」
「ずっとなくて」
「食べていると変人扱いされた」
「そうだったんだ」
「織田作さんは知らなかったかも知れないね」
 そもそもというのです。
「食べたことがないどころか」
「東京にいたことがあったから」
「東京で見たかも知れないけれど」
「少なくともそれまではだね」
「納豆を知らなかったんだ」
「そうかもね、そして食べていたとは」
 織田作さんが納豆をです。
「僕は思えないね」
「ううん、納豆を食べたことがない」
「三十数年前まで関西はそうで」
「織田作さんもなんだ」
「そうだったんだ」
「それが大阪の食文化だったしね、納豆は兎角ね」
 納豆のお話をさらにするのでした。
「長い間関西では忌避されて嫌われていたよ」
「入っていなくて」
「それで尚更だったんだ」
「食べたら変人扱いされるまで特別で」
「嫌われていたんだ」
「食べものじゃないとまで言う人もいたし」
 それにというのです。
「腐ってるともね」
「糸引いているしね」
「匂いも凄いし」
「そう言われても仕方ないね」
「それは確かにそうだね」
「けれど違うからね」
 そこはというのです。
「実は」
「あれは発酵させていて」
「言うならヨーグルトと同じで」
「腐ってはいないのよね」
「納豆にしても」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
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