第117話『夜明け』
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らげて真剣な表情をしたので、結月も只事ではないと慌てて力を溜め始める。
突然のお願いなのに、結月はこっそり鬼化まで発動してくれた。病み上がりでもあるのに、彼女にそんな無茶をさせてしまう自分をぶん殴ってやりたい。
何事かと、勘のいい魔術師たちの視線がちらほらとこちらに集まるが、なりふり構っていられない。もしこれが思い過ごしだったのなら、後で謝ればきっと許してもらえる。でも、この不安が的中して後悔することだけは絶対にしたくない。
──脳裏に浮かんだのは、予選が終わった後に見たあの夢。その中で、雨が降ってきたかと思いきや、その雨粒が晴登の身体を……思い出したくもない。
「う、らァ!!!」
そんな晴登の嫌な想像を打ち消すように、結月が力強く魔術を発動した。
すると会場から覗く空を覆うように、1枚の分厚い氷が張られる。さながらドームのようだ。
「おいお前ら、何やって──」
ここまでの大規模な魔術を使えば、さすがに全員にバレる。そして看過できないと終夜に声をかけられた、次の瞬間だった。
──まるで鉛が降ってきたかのように雨粒が氷を穿ち、地鳴りのような雨音が響いた。
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