第117話『夜明け』
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勝者である2チーム、【覇軍】と【花鳥風月】だ。どちらの実力も本物であり、さぞ白熱した試合が見れることだろう。
──誰もがそう思っていたが。
『これは圧倒的! 決勝戦の特別ルールが"ラスト・ザ・総力戦"であるにもかかわらず、【覇軍】のアーサー選手が1人で【花鳥風月】を全員ダウンさせましたぁ!!』
なんということだろうか。4対4の総力戦ということで始まった決勝戦だったが、なんと【覇軍】側はアーサー1人の力で【花鳥風月】に勝ってしまったのだ。
誰がこの結果を予想できるというのか。【花鳥風月】だって決して弱いチームではないというのに、それでもレベル5の魔術師1人に敵わなかった。そのアーサーの圧倒的強さに、もはや恐怖すら覚える。
「思ったより早かったな」
「少し本気を出したからね。手加減して勝てる相手じゃなかったし」
「その割には全然余裕そうだったけどな」
「そう見えたかい? まぁ夜だったらもう少し手こずったかもね」
声をかけてきた影丸に、アーサーは笑いながらそう返した。
確かに【花鳥風月】のリーダーである月の本領が発揮されていなかったとはいえ、それでもやはり1人であの4人を圧倒してしまうのは最強と言わざるを得ない。
「残念そうな顔だね」
「あ? 別に、俺はめんどくさかったからお前に任せた訳で……」
「【日城中魔術部】と戦えなかったことさ」
「……っ」
核心を突くようなアーサーの問いに、影丸は口ごもる。相変わらず察しは良い男だ。まるで内心を見透かされてるようで、そこだけは好きではない。
だが彼の言う通り、【日城中魔術部】──もとい、三浦 晴登と戦えることを期待していなかったと言えば嘘になる。実際に手合わせすることで初めて知ることもあるからだ。しかし、
「昨日も言ったが、別に強いこだわりがある訳じゃねぇ。ちょっと気になってただけだ」
「ちょっと?」
「……まぁ、それなりに」
口では誤魔化したが、アーサーにはやはりバレバレのようだった。
彼との因縁については、まだ確信を持ってはいない。なぜなら影丸が一方的に持っている縁だから、こちらから訊かない以上わかることもないのだ。
「まだ気になってること訊けてないんだろ? 閉会式が終わったら声かけに行きなよ」
「わーってるよ。行きゃいいんだろ、行きゃ」
冷やかされるようにアーサーに言われ、影丸は渋々行動することを決意する。
まぁ確信は持ってないと言ったが、ほぼ確定なので正直今からソワソワしていた。
「ようやく、師匠の居場所が……」
影丸はポツリと、そう口の中だけで呟くのだった。
*
決勝戦が終わると、そのま
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