第117話『夜明け』
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していた。
「ちょ、うるさいわよ! いつまで騒いでんの!」
「何だよ、お前は悔しくないのかよ! ピーピー泣いてたくせによ!」
「はぁ〜?! 泣いてないし?! 汗だったし?!」
疲れてるにもかかわらず、いつものように2人の口論が始まる。もう慣れっこだ。
「残念だったね、ハルト。せっかく勝ったのに……」
「俺はたまたまだよ。みんな強かった」
「でも、ボクが元気だったら……」
「おっと、ダメだよ結月。それ以上言ったら」
「う……そうだね、ごめん」
そんな騒がしい2人とは対照的に、結月の表情は暗い。無茶をしたことで、出場できなくなった責任を感じているようだった。
彼女の言わんとすることはわかる。もし自分が出場していれば、何か変わったかもしれないと。実際、その可能性はある。
しかしだからこそ、その発言は終夜たちの奮闘を蔑ろにすることになる。ここで口にするべきではない。
「で、でもベスト4は確定じゃないですか!」
「そうですそうです! 歴代トップの成績ですよ!」
「だから喧嘩は程々に……」
「ね? ね?」
2年生方が終夜を説得するように褒めていく。
晴登にはまだどれくらいの凄さかは測れないが、全国ベスト4と考えるときっと凄いのだと思う。彼らの言う通り、この成績は誇っていいものだ。
「……わかってるよ。結果はめちゃくちゃ嬉しいしすげぇことだ。けどよ」
彼自身も、その成績は認めていた。
ただそこで、終夜は唇を噛み締める。その瞳にはうっすらと雫が浮かんでいた。
「──星野先輩には勝ちたかったなぁ……」
悔し涙。いつも強気な彼が珍しく、弱さを見せた瞬間だった。あまりに突然の出来事で、誰もかける言葉が思いつかない。
ずっと追い続けていた背中を越えようとしたが、できなかった。そして、ここまで死力を尽くして競えるチャンスは何度も訪れるものではない。もう二度と、ないかもしれない。
だからこそ、彼の悔しさは一層増すのだ。
「はは、俺が泣くなんて柄じゃねぇよな。悪い悪い。……うし、明日は決勝戦だ。せめて精一杯応援しないとな」
終夜は涙を拭い、そうやっていつもの笑顔を見せた。強がっているだけだとわかっていても、やっぱり彼はその表情が似合う。その笑顔につられて、みんなの表情も明るくなった。
「決勝戦のルールは何ですかね?」
「さぁな〜パン食い競走とかか?」
「んな訳ないでしょ」
そんな他愛ない会話が、就寝時刻まで続くのだった。
*
魔導祭最終日。いつの間にか破壊されたフィールドも元通りになっており、決勝戦が滞りなく行なわれていた。
ぶつかるのは当然、準決勝の
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