第三章
[8]前話
オウロッシュは実際に周りの者達と一緒にこの勝負を見守った、二人は杯をどんどん空けていった。そして。
二人共樽を一つ空けた時にだった。
マルコは遂に倒れた、そうして高いびきをかきだしたが。
サイタはまだ座っていて杯を手にしていた、そのうえでその杯を空けて言った。
「わしの勝ちですか」
「そうだ」
勝負を最初から観ていたオウロッシュが答えた。
「間違いない」
「そうですか、しかしわしもです」
「もう飲めないな」
「はい、後はです」
見れば顔は真っ赤だ、目は完全に座っている。
「寝させてもらいます」
「よくやった、そしてこれでな」
「マルコ様もですね」
「飲まない日が出来る、流石に毎日ではな」
飲むこともというのだ。
「駄目だ、だからな」
「それでは」
「これで幾分かでも身体にいい」
飲まない日が出来てというのだ。
「よしとしよう」
「それでは」
こう言ってそうしてだった。
サイタもその場に倒れ込んだ、こうして勝負は終わった。
マルコはこの勝負の後約束通り週に二日は飲まない日をもうけた、すると彼はこう言ったのだった。
「飲まない日があると」
「はい、その分ですね」
「身体の調子がいいですね」
「左様ですね」
「どうもな、これまでは毎朝辛かったが」
起きても酒が残ってだ。
「それがない日もあるとその分気分がいい、それにだ」
「身体も楽ですね」
「飲まれない日がありますと」
「左様ですね」
「そうなっている、やはり毎日飲んでは駄目か」
マルコは周りにしみじみとした口調で述べた。
「身体によくないか」
「そうかと」
「ですからこれからもです」
「そうした日をもうけられて下さい」
「飲まれない日も」
「そうする、誓ったことは守らないとならない」
絶対にというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「これからもですね」
「飲まれない日はもうけられますね」
「そうしよう、そのうえでセルビアとオウロッシュ様の為に戦っていこう」
こう言って彼は飲まない日も置く様にした、するとだった。
彼はこれまで以上に健康になり存分に戦える様になった、そうしてセルビアの敵を大いに打ち破れる様になった。
それでだ、オウロッシュにもこう言った。
「やはり酒もです」
「程度があるな」
「毎日は流石に毒です」
「そのことがわかったな」
「左様です」
こう言った、そうして死ぬまで飲まない日ももうけていった。セルビアの酒好きの英雄の逸話の一つである。
飲み合い 完
2022・1・17
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