GGO編
九十八話 妹の不安
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いた……
「参ったぜ……」
「……やっぱり……」
不安そうに涼人の方を見た直葉は、やがて語りかけるように、和人に問いかける。
それは、いつもの彼女と比べるととても弱弱しく、その瞳の奥には確かに、恐怖の光が見て取れた。
「ね……、危ない事、何もないんだよね……?嫌だよ、またどこか遠くに行っちゃったりしたら……」
その先を言う事を恐れたのか、彼女はそこで言葉を区切った。
それに対し、キリトは小さく、そしてどこか嬉しそうに微笑む。
「……行かないよ」
はっきりとした声が、静かな部屋の中に響いた。
「約束する、今夜の、GGOイベントが終わったら、ちゃんと帰ってくるよ……ALOと、この家に」
「なっ?」といって、それを確認するかのように自分を見た和人を見て、涼人は何時ものようにニヤリとした笑みを浮かべると、軽く頷いた。
「あぁ。楽勝だ。安心しろよ……此奴の事は、ちゃんと連れて帰ってくるからよ」
そう言った涼人に、直葉は少しだけ安心したように微笑する……しかし、その顔をすぐに真剣な物に戻すと、頼むような重い声で言った。
「お兄ちゃんだけじゃないよ……ちゃんと、りょう兄ちゃんもリョウも帰って来てくれなきゃ、嫌だから」
その言葉に、涼人は再び驚いたように目を見開く。しかしやがて、もう一度笑った。
今度は、いつもの企むような彼の笑みとは違う。優しく、柔らかな微笑み。
「あぁ。勿論だ」
本当ならば、自分達がSAOにとらわれたことで大きな心痛を与えてしまった妹に、こんな不安を再び与えるなど、絶対に許されない話だろう。
しかし、依頼をキャンセルする事は、今となっては難しい。いや、出来ない。
アイリや、闇風との約束を反故にする事はリョウのポリシーに反するし、何より《死銃》がラフコフの一味であると判明した今、涼人と和人には……リョウコウとキリトには、果たすべき責務が出来た。
《剣士 キリト》として。あるいは《刃 リョウコウ》として。あの時の、決着を付ける。その時は再び、桐ケ谷涼人と、和人として、この家に帰ってくる事が出来るだろう。
「ぜってえ帰ってくる。約束してやるよ。ほれ、それよかさっさと食わねぇと、冷めるぞ?」
再びニヤリと笑った涼人に、直葉はようやく普段の元気な笑顔を取り戻したようだった。「……うんっ」と歯切れのよい返事をすると、自席に座ってピラフをハグッとひと山食べる。
「ほーひへあ、おひぃはん(そーいえば、お兄ちゃん)」
「……何だって?」
「食ってから話せ」
言うと、直葉は即座に咀嚼したピラフをごくりと飲み込んだ。
「アスナさんから聞いたんだけど、今回の《お仕事》、すっごいバイト料出るんだってね?」
「うっ……」
ちなみに、今回の菊岡の出す報酬300K(三十万)ほどで
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