GGO編
九十八話 妹の不安
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持ち緩め気持ち緩め」
「うぐ……分かった……」
図星を突かれて言葉に詰まった彼は、頭を掻いて少し俯き加減になる。それを見ていつものようにニヤリと笑うと、
「んじゃま、庭で顔でも洗ってこい。あ、スグにもう直ぐ飯だっつっといて」
「ん。了解」
テクテクと歩いていく和人の背中を見ながら、涼人は苦笑して朝飯作りを再開する。ちなみにメニューは厚切りベーコンを乗せたピザトーストだ。先程のお詫びとして直葉に作らされる羽目になり、ピーマンが無かったため(スグはピーマンが無いと駄目だと言い出すから困る)近くにあるコンビニまで(スーパーは時間的に開いて居ない)自転車を全速力で走らせ、スーパーと比べると遥かに高いピーマンを“自腹”で買ってくる羽目になった上に成り立つ、涼人の金と涙の結晶である。
「ま、思い出っつーには質悪過ぎだわな」
和人が眠れなかった理由は、まあ大体察しが付く。おそらくだが、昨日出くわしたラフコフメンバーの事から、あのギルドその物の事や、あの、討伐戦の時の事を思い出して居たのだろう。
そして或いは、彼自身があの世界から消し去った一人……否、二人の事を。
「……ふぅ」
六枚のパンにケチャップを塗り終え、涼人は溜息を吐くと冷蔵庫からベーコンとチーズを取り出す。先に輪切りにして置いたピーマンを載せると、次にベーコン。
「…………」
正直、なるべくならばあの世界で和人/キリトに殺しをさせたくは無かった。
殺人は、一度でも犯したならば、未来永劫に向き合って行かなければならない、言わば突き刺さった楔のような罪だ。
和人や自分は、あの世界で有ったが故に裁きを受けず、また罰される事無く、一見「罪と向き合う」必要は無いように思えるが、それは否だ。
例え状況がどうあれ、環境がどうあれ、自分が“人を殺した”のだという意識は自分の中から無くすべきではないと涼人は思っているし、向き合わなければならないとも思う。
そう思うからこそ、涼人は和人に、リョウはキリトに殺人をさせたくは無かったのだが……
「させちまったんだよなぁ……」
チーズを乗せつつ呟くように言う。
ラフコフとの戦闘状況を見て、後方からアスナとの話を無視して前に出たあの時。
残念ながら、アスナを庇って半ば理性を飛ばした状態で走り込んだキリトが一人を殺す事を止めるには、リョウの敏捷値は足らな過ぎた。
結果とその後の事は……読者諸君も知っての通りである。
あの時の事を思い出していたと有れば、成程、寝不足も頷ける。そう言う涼人はと言えば、相も変わらず嫌になるほど何時も通り。昨晩もまたぐっすりと眠れた。
「参ったね……」
六枚全てを作り終え、三枚を桐ヶ谷家自慢(と言うか翠叔母さん自慢)のちょっ
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