第一章
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マダム=ケレマン
マダム=ケレマンは中南米のあちこちを飛び回っている魔女である、肌は黒く髪と目もそうだが顔立ちは彫があり鼻も高い。背は小柄な方で全体的に艶やかな感じである。
何百年も生きているが外見はそうした風だ、魔女の服と帽子を身にまとっていて人々に自分の名前を聞いてくるのだ。
「いいかい、若し名前を聞かれて言えないと」
「食べられるんだ」
「マダム=ケレマンに」
「そうされるんだ」
「シチューにするかステーキにするか」
ボリビアのある村で老婆が子供達に話していた。
「わからないんだがね」
「マダム=ケレマンと会って名前を聞かれて」
「答えられないとなんだ」
「僕達食べられるんだ」
「そうなるんだ」
「その代わり答えたらいいものが貰えるよ」
老婆は子供達にこの話もした。
「そうなるんだよ」
「そうなんだ」
「じゃあ名前覚えておくね」
「マダム=ケレマンだね」
「黒い肌の魔女だね」
子供達は彼女の名前を覚えた、それはこの村だけでなく。
中南米全体でそうだった、特に白人と黒人の混血であるクレオール達の間で広まりそうしてであった。
誰もが知っていた、それでだった。
他ならぬマダム=クレマンはボリビアにある彼女の家の一つで怒っていた。
「どうして私の名前を皆知っているのよ」
「皆食べられたくないですから」
「だからですよ」
「必死に覚えるんですよ」
「ご主人様の名前を」
犬に猫、蝙蝠に蛇に蛙に蜥蜴といった使い魔達が家の中でコーヒーとチョコレートを口にしつつプリプリしている彼女に言った。
「そうするんですよ」
「食べられたい人なんていませんよ」
「私達だって嫌ですから」
「そうなるのも当然です」
「特に子供が怖がりますから」
「子供の時に覚えると忘れないですしね」
「全く、実は私は人間は食べないけれどね」
ケレマンはこのことをここで言った。
「絶対に」
「そりゃそうですよね」
「人間ってまずいらしいですからね」
「そもそもどう見ても肉の部分殆どなくて」
「料理をしても食いでがないですね」
「食べたこともないわよ、人間を食べるよりも」
そうする位ならというのだ。
「こうしてよ」
「チョコレートですよね」
「それを召し上がられますね」
「そうされますね」
「ええ、玉蜀黍や南瓜も好きだしね」
こうしたものもというのだ。
「ステーキだって好きよ」
「そうしたものを食べる方がいいですね」
「人間を食べる位なら」
「左様ですね」
「魔女だから変な噂がついてるけれど」
それでもというのだ。
「私は人間なんて食べないわよ」
「左様ですね」
「何故かそんな話になっていますが」
「人間は食べたことがありま
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