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フリーズ
第二章

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 当然チーズがあった、だがそのチーズがだ。
 あまりにも臭い、それで仁美は言うのだった。
「何この臭さ」
「仁美固まってるわよ」
「固まりもするわよ」
 実際動けなくなっている状態で瞳に言っていた、立ったままで彼女に近寄れずその場で固まっているのだ。
「その臭さじゃね」
「いい匂いじゃない」
「何処がよ、何よそのチーズ」
「ウォッシュチーズっていうの」
 瞳はそのチーズを右手に持ってあっさりとした口調で答えた。
「フランス産よ」
「フランスはいいけれど何よその匂い」
 これ以上はないまでに引いた顔で瞳にまた言った。
「無茶苦茶臭いわよ、ここまで匂ってるわよ」
「風のせいでよね」
「そうよ、そんな臭いもの食べるの」
「これがまた美味しいのよ」
 言いながら笑顔で食べている、瞳自身は。
「独特の味でね」
「いや、味の問題じゃないわよ」 
 仁美は今度は怒って言った。
「物凄い臭さじゃない」
「臭いのなら納豆やキムチも同じでしょ」 
 瞳はそうした食べものの名前を出した。
「だからね」
「そのチーズも同じだっていうの」
「そうよ、だからね」 
 それでというのだ。
「気にしない気にしない」
「気にするわよ、そんなのさっさと食べてよ」
「食べ終えろっていうのね」
「さもないと隣に座れないでしょ」
「一緒に食べる?」
「友達でしょ、それじゃあよ」
 共に食べることは当然だというのだ。
「お弁当箱の中のそれをね」
「最初に食べろっていうのね」
 見れば弁当箱の中にそのチーズがスライスしてる、長方形でブロックの様にして何枚か弁当箱の端に置かれているのだ。
「そうなのね」
「そうよ、だからね」
 それでというのだ。
「いいわね」
「それじゃあね」
 瞳も素直に頷いた、そうしてだった。
 そのチーズを最初に全部食べた、仁美はそれを見届けてから彼女の横に座り。
 自分の弁当箱を開けて彼女と一緒に食べはじめようとした、そして会話もしようとしたが。
「うっ・・・・・・」
「どうしたの?」
「ちょ、ちょっと」
 動きを先程以上に硬直させつつ瞳に言った。
「あんたの今のお口の匂い」
「普通でしょ」
「普通じゃないわよ」  
 硬直したまま言った。
「とてもね」
「寝る前いつも磨いてるからいいでしょ」
「あんたはその時磨くのね」
「寝てる時は一番虫歯になりやすいっていうからね」
「それはいいけれど」
 それでもと言うのだった。
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