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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第三章 〜心の在処〜
その一
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き、再度着替えるためにリビングを出て行った。

『フォーベシイ殿』

『ん? 何だい?』

 突然の柳哉からの念話にも動揺することなく返事をする魔王。このあたりは流石といったところか。

『あの子は、プリムラは一体、何者なんですか?』

『何者か、かい?』

 表情にこそ出さないが、魔王は舌を巻いていた。この稟達と幼馴染で神族と人族のハーフであるという少年は、稟達と談笑しながら魔王と念話で会話をしている。しかもノイズが全く入ってこない。普通、念話というものは頭に浮かべた言葉を相手に送るものだ。しかし、通常の会話をしながら念話で会話をする場合、通常の会話として頭に浮かべた言葉が、念話として頭に浮かべた言葉と干渉し合うことによって、ノイズが発生してしまう。いかにノイズを発生させることなく念話を行えるかは本人の魔力制御能力、さらには思考や意識の分割能力(言ってしまえば脳の分業)に左右されるのである。故に、ノイズが全く発生しない念話を行使できる柳哉の魔力制御能力および思考や意識の分割能力は非常に高いレベルにある、と言える。才能もあるのだろうが、相当の訓練をしてきたのだろう。しかもプリムラを無理の無い理由で退出させた上で、念話による会話を試みるあたり、細心の注意を払っていると言える。プリムラは一体何者なのか、と聞いてきたが、君自身が一体何者なのか、と逆に問いたいところだが、今は横に置いておく。

『別に念話で話さなくてもいいよ。ここにいる皆が知っていることだからね』

『そうですか、それでは』

「フォーベシイ殿。一つお聞きしたいことがあります」

 丁度稟達との会話が途切れたところで柳哉が口を開いた。

「うむ、何かな?」

 柳哉の意図を汲み、念話のことは口に出さない。

「あの子は、プリムラは一体、何者なんですか?」

「うん? 稟ちゃん達から聞いてないのかい?」

「いえ、訳あって芙蓉家(ここ)に居候していることくらいしか聞いていません。何らかの重要な、あるいは特別な存在だ、ということは察していますが」

 事実、それしか聞いていない。

「あれ? 話してなかったか?」

「聞いた覚えは一切無い。そして記憶力には自信がある」

 稟の台詞に若干強めの口調で返す。

「そういえば……」

「お話した覚えは……」

「無かったような……」

 ちなみにシア、ネリネ、楓、の順である。どうでもいいが。

「つまり、皆話したつもりになっていた、と、そういうわけだね」

 魔王の台詞に柳哉は、はあ、と一つため息をついた。
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