第一章
[2]次話
パンドラの箱
オリンポスの神々はこの時考えていた、人間の世界を見て。
「色々悪いものがあるな」
「全くですね」
ヘラはオリンポスの主神であり自身の夫でもあるゼウスの言葉に頷いた。
「災厄に満ちています」
「我々も対処して人を救っているが」
「あまりにも多くてです」
「対処しきれないな」
「しかも我々の仕事は他にもあります」
ヘラは困った顔で述べた、見事な金髪で青い牡牛の様な大きな澄んだ目で熟した美しさに満ちた顔と身体である。大柄で茶色の豊かな髭と短くした癖のある髪に彫のある顔立ちと黒い目の夫と実によく合っている。
「中々です」
「人間のことにまでな」
「手が回りません」
「そうだ、だからだ」
ゼウスはここでヘラに話した。
「人を助ける最大の力を送りたいのだ」
「それは何でしょうか」
「希望だ」
これだというのだ。
「これを送りたい」
「人の世界にですね」
「そうしてだ」
「希望に救わせますね」
「そうしたい、早速人の世に希望を送ろう」
ゼウスは即決した、だが。
ヘラはここでゼウスに顔を曇らせて話した。
「人の世にはプロメテウスがいまして」
「ああ、あの者がいたか」
ゼウスも言われてはっとなって述べた。
「そうだったな」
「貴方が先日あの者に悪戯をしましたね」
「少し驚かせてやるつもりだった」
ゼウスは微妙な顔になって述べた。
「贈りものと言ってな」
「箱を渡しましたね」
「そしてその箱に雷の音を入れた」
「その箱を開けると」
「雷の音がした、そしてだ」
ゼウスは神妙な顔で話した、その時のことを思い出して。
「その轟音でプロメテウスは驚いて腰を抜かした」
「ここでその光景を見て大喜びでしたね」
「まんまと成功したとな」
「賢いプロメテウスに悪戯を仕掛けたと」
「うむ、あの時は実に楽しかった」
「そんなことをしましたから」
それでとだ、ヘラは夫に話した。
「今あの者は物凄く怒っています」
「かんかんになっておったな」
「それで今は何を送ってもです」
「わしの悪戯に決まってるとするな」
「それで希望を送ろうとも」
「突き返されるな」
「そうなります」
こう話した。
「間違いなく」
「頭はいいが心の狭い奴だ」
「そんなことをすれば誰でも怒ります」
さらりとした長い茶色の髪でアイスブルーの知的な目で長身を服と武具で覆っているアテナが咎めてきた。
「父上は悪戯が過ぎます」
「ほんの遊びではないか」
「その遊びでも怒ります、ですから」
「それでか」
「はい、今はそうそうはです」
「希望は送れないな」
「少なくとも彼には」
怒っているプロメテウスにはというのだ。
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