第四章
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「肉料理は焦がすけれどな」
「そうなんですか」
「ああ、けれど結構な」
「お料理も上手ですよね」
「性格も見てか」
「はい、そうしたところもいいと思って」
それでというのだ。
「告白しましたら」
「頷いてくれてか」
「お付き合いしています。けれどまだ」
ここで知宏は必死の顔になって言った。
「あの、疚しいことは」
「キス位か」
「とんでもないですよ、手をつなぐことも」
知宏は席から立ち上がらんなかりになって反論した。
「とても」
「よくわかった、そうか」
「はい、そんなとても」
「もう少し押しが強くてもいいな」
瞭はかえってこうも思った。
「それなら」
「そうですか」
「俺だったらそうする、妹相手にはしないがな」
「やっぱり妹さんですから」
「流石にな、しかしよくわかった」
瞭はあらためて言った。
「君は素直だ、はっきり胸からと言ったからな」
「それはまあ。あの胸ですから」
「人はやっぱりまず外見を観るだろ」
その人のそれをというのだ。
「逆にいきなり性格が好きになったと言うとな」
「胡散臭いですか」
「あいつはあの胸だからな」
小柄な身体に不釣り合いなまでに大きなそれがあるからだというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「胸なんか見ていないと言うとな。貧乳派なら顔と言うだろうが」
「僕胸好きですから」
「尚更いい、君は素直で誠実だ」
率直に答えたことからわかったことだ。
「それならな」
「いいですか」
「そうだ、俺はな。君はあいつと付き合える」
咲菜、彼女とというのだ。
「大事にしてくれよ」
「そうさせてもらいます」
「それじゃあコーヒー飲むか」
ここで二人共コーヒーをまだ飲んでいないことに気付いた、それで知宏に対してこうも言ったのだった。
「そうするか」
「はい、それじゃあ」
「ここのコーヒーは結構いいんだ」
笑顔でそちらの話もした。
「一緒に飲もう」
「それじゃあ」
「コーヒーを飲むと胸が小さくなるらしいがな」
「そうなんですか」
「脂肪を燃やすらしいからな」
その為にというのだ。
「だからな」
「そうなんですか」
「だが俺達は男だ、気にしないでな」
そうしてというのだ。
「飲むか」
「はい、二人で」
「今度はあいつと飲むんだな」
「胸が小さくなるならミルクか紅茶飲んでもらいます」
「それがいいな」
瞭は知宏のその言葉には笑って応えた、そしてだった。
二人でそのコーヒーを飲んだ、コーヒーはもう冷めていたが美味かった。
妹の胸が 完
2021・6・14
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