第一章
[2]次話
オープン戦がはじまり
プロ野球のオープン戦がはじまった、すると根室寿は妹の千佳に対して朝ご飯を食べつつ勝ち誇った顔で言った。
「今日から阪神の黄金時代がはじまるからな」
「ああ、カープに今年も勝ち星献上してくれるのね」
妹は勝ち誇る兄にクールに返した。
「有り難うね」
「お前毎年そう言うな」
「お兄ちゃんもね、その台詞去年も聞いたわよ」
「今年こそはなんだよ」
「毎年そう言ってじゃない」
ご飯に納豆を賭けつつ言う。
「優勝してないでしょ、去年なんかね」
「クライマックスの最後か」
「そうよ、エラーがきっかけでね」
この試合のことを言うのだった。
「負けたでしょ」
「あそこから逆転されたな」
「その前にヤクルトと競ってね」
「負けて向こうが優勝したな」
「それまでもよ」
去年だけでなくというのだ。
「ずっと負けてるじゃない」
「優勝していないか」
「腹立つことに巨人が優勝して」
野球もっと言えば全世界に仇名す邪悪の権化であるこのチームにというのだ。
「しかもその巨人がね」
「シリーズでソフトバンクに四連敗だからな」
「二年連続でね」
「あれは見ていて痛快だったけれどな」
「ええ、けれど阪神はね」
このチームはというのだ。
「負けてるでしょ」
「それはな」
「だからね」
それでというのだ。
「お兄ちゃんがそう言ってもよ」
「毎年そう返すんだな」
「そうよ、まあ今年はね」
千佳は納豆ご飯を食べつつ言った、納豆のねばねばと独特の匂いが口の中を支配している。これは兄も同じだ。
「カープが優勝よ」
「お前もそれな」
「ずっといってるって言うのね」
「そうだよ、確かに三連覇したけれどな」
それでもというのだ。
「そこからはな」
「丸さん強奪されたしね」
「あの巨人にな」
「毎回腹立つわ」
千佳は全身から禍々しい漆黒のオーラを放ちつつ言った。
「本当にね」
「巨人のあれにはな」
「阪神からは強奪しないけれどね」
「相手もわかっているんだろうな」
「流石に阪神から獲ったらね」
「そんなことしたら何があっても許さないからな」
想像するだけでだった、寿は。
鬼の顔になった、そうして妹に語った。
「その時は」
「そうよね、けれど他のチームからはね」
「平気で獲るな」
「それが巨人よ」
邪悪の極みをさらに突き抜けた全人類普遍の敵であるこのチームだというのだ。巨人はこの世の悪そのものだ。
「だからね」
「カープは特にそうでもな」
「いつもどれだけ腹立つか」
「その巨人にか」
「私は物凄く怒ってるのよ」
「僕以上か」
「負けてないわ、それで今年はカープの優勝と」
そしてというのだ。
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