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絶撃の浜風
外伝 Tesoro italiano 〜イタリアの至宝〜 00 プロローグ ぽんこつアル重
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「もう、何やってるのよポーラァ! 危うくゴミに出される所だったのよ!」


 夕べから行方がわからなくなったポーラを寝ずに探し回っていたザラは、ポーラの無事な姿を見てほっとしたのか、その端正な顔をぐしゃぐしゃにしながら泣き怒りしていた


「ザラ姉さまごめんなさい・・・ポーラァ、もう演習中に飲んだりしません・・・・多分」


「もう・・・・姉さまに心配掛けさせないで・・・ぐすっ・・・」


「姉さま泣かないで。ポーラはほらっ!何ともありませんよ〜」


「・・・ちゃんと提督にも謝りに行くのよ・・・それと、早くお風呂に入りなさい。臭うわよ」


「おっかしいなぁ? ポーラ、夕べの記憶がありませ〜ん。何であんなトコで寝てたんですかねぇ?」


「いいから早くシャワー浴びちゃいなさい!」


「は〜い」




 ポーラは部屋に戻ると、生ゴミやらなんやらの複雑な臭いのついた衣類を脱ぎ捨て、シャワールームに入る。ちゃっかりプロセッコの小瓶を持ち込む事も忘れなかった


 ザラの心配を余所に、今日のポーラは何だかとっても気分がよかった。その理由は、昨日の演習で試したユニットが、ポーラの要求を充分に満足させるものに仕上がっていたからであった


 シャワーで体の汚れを洗い流しながら、時折プロセッコのしゅわしゅわを堪能する。もうすっかり気持ちよくなったポーラは、無意識にカンツォーネを口ずさんでいた



「♪〜Sul male lucica〜l'astro d'argento〜Placida e l'onda〜prospero e il vento〜♪〜ふぁ〜きもちいい〜♪」



脱衣所に無造作に脱ぎ捨てられた衣類を拾い上げ、ザラはそれを洗濯機に入れる



「・・・【Santa Lucia】 なんて口ずさんで・・・ナポリが恋しくなったの? ポーラ?」



 子供の頃からよく聴かされたポーラのどこかふわふわとして可愛らしく舌を巻くカンツォーネ・・・・それは、ザラの耳元に心地よく響く


 ポーラが歌うと、フィレンツェの街を行き交う人々は振り返り、しばし足を止めたものだ。その筋のスカウトに声を掛けられたのも、一度や二度ではなかった


 もし、ポーラが艦娘として覚醒する事がなかったら・・・・・カンツォーネの歌姫として生きていたのかも知れない・・・あの子のおおらかで物怖じしない性格はそういう生き方に向いているような気がする



 それだけに・・・ポーラと共に日本へ来た経緯を思うと、ザラは少しだけ胸が痛んだ。この子は陽の当たる場所で生きるのが似合っている・・・




 そんなザラの声色を、ポーラは聞き逃さなかった・・・声の調子だけで、ザ
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