暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
青天の霹靂 その5
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たパレオロゴス作戦の補給計画の遅れを取り戻すべく毎夜残業が行われていた
政府部内の試算では、現在の保有弾薬数や燃料備蓄量ではハイヴ攻略には不足
各所を通じて、合わせて食料や需品(じゅひん)の確保に追われていた
 
 男はタイプライターの前から立ち上がると、眠気覚ましにコーヒーを取りに給湯室に向かった
周囲を見ると、自宅に帰れずに机に突っ伏して仮眠している人物がそれなりに居る事に気が付く
既に、残業は常態化しており、彼は、気には留めなかった
 給湯室で出涸(でが)らしのコーヒーを入れると、紙コップを持ったまま、室外に出た
季節は既に4月に近いが、肌寒くオーバーが必要なくらいの温度
窓辺から、入り込む深夜の風は冷たく、目が冴える
懐より両切りタバコを取り出すと、火を点け、吹かす

 噂では、日本軍の大型戦術機は、高出力で大火力
高度1万メートルまで悠々と飛び上がり、推進剤の消耗の心配もいらないと聞く
光線級の攻撃を物ともせず、逆にBETAの群れを一撃で灰燼(かいじん)に帰す
その話が本当ならば、この様な準備計画は無駄ではなかろうか……
 
 いつ終わるか、わからぬ残業を続けているせいであろう
そう自分自身に言い聞かせ、心を落ち着かせる
この作戦が終わったならば、妻と共にオーストリーのウィーンに行って湯治(とうじ)でもしたいものだと考える
足腰の痛みは辛く、長時間のデスクワークで体も凝り固まってしまった
35度の熱泉に入って、体を休めたい
或いは、バーデン・バーデンの混浴に入って、妻と暫し語らうのも良かろう……

 ふと腕時計を見ると、深夜3時
開庁時間まで仮眠するかと、その場を後にした

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