特別編 ウルトラカイナファイト part5
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「おぉーい、この子を頼む! 意識が戻らないんだ!」
「輸血の用意は!?」
「痛え……ちくしょう、痛えよぉ!」
椎名雄介がウルトラマンザインと再び一体化し、遺体袋を突き破って復活した頃。逃げ遅れた人々を保護している総合病院は、さながら野戦病院のような惨状となっていた。
医師も、看護師も、休む暇すらなく次々と運び込まれて来る急患達の対応に追われている。
「……」
その喧騒を背に、力無くベッドに横たわる「部下達」を静かに見下ろしている青年がいた。表情に悔しさの色を滲ませている彼――覇道尊は、無言のまま拳を震わせている。
(あの時……奴はすでに、動き出していたのか)
テンペラー軍団の襲撃開始から、約1時間前。とある世界的な大企業の令嬢が、妖しげな老紳士に奇襲されるという事件が起きていた。
その老紳士が仕込み杖に隠していた剣によって、令嬢のボディガードを任されていた身辺警護課の警備員達は、瞬く間に斬り伏せられてしまったのである。
唯一、老紳士の剣技と互角に渡り合うことが出来た尊は、仕込み杖を叩き折り後一歩というところまで彼を追い詰めたのだが。
『流石は世界最優のボディガードと謳われる、覇道尊と言ったところか。それとも、「ウルトラマンエナジー」と呼ぶべきかな?』
『なッ……!?』
老紳士が放ったその一言に虚を突かれ、取り逃してしまったのである。結果として令嬢を守り抜くことには成功したものの、重傷を負わされた部下達の仇を討つことは叶わなかったのだ。
3年前、ウルトラマンとして地球を救った自分の「過去」を知っていた謎の老紳士。その声色は、今まさに東京を蹂躙しているテンペラー星人の声と、完全に一致している。
(済まない……お嬢、皆……! ボディガードであるはずのこの俺自身が、襲撃の元凶になってしまうとは……!)
テンペラー星人は尊の実力を測るためだけに、老紳士の姿に擬態し。令嬢を襲い、部下達を傷付けていたのだ。
今になってようやくそれを理解した尊は、自分のせいで部下達が斬られたのだと、自責の念に囚われているのである。その腰に提げられた剣状の変身アイテム――「ウルトラエナジーソード」は、自分自身への怒りが伝播しているかのように紅く輝いていた。
「うぅ……あぁあ……! 助けて、痛い、痛いっ……!」
「ママ、ねぇママ、起きてよ! 目を開けてよぉっ!」
「お父さん、お母さんっ! しっかり、しっかりして! 諦めちゃダメぇっ!」
背後から聞こえて来る、患者達の呻き声。子供の泣き声。家族の危篤に狼狽する声。それらは全て、テンペラー軍団の破壊活動による被害者達の「嘆き」であった。
(俺のせいだ……! 俺があの時、奴を仕留めていればこんなことにはッ
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