第二百四十一話 カレリアからその六
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「俺も思って仲間内でもな」
「十二人の方々の間でもですね」
「そこは議論になりましたか」
「食人まで法で止めるかどうか」
「そのことは」
「ああ、流石に言うまでもないってな」
法で定めるまでもないというのだ。
「話にもなったよ」
「言うまでもない大罪ですからね」
「人を殺すだけでも許せません」
「尚且つそこで食うなぞ」
「とてもです」
「許されるものではありません」
「そりゃ確かに餓えていたらな」
それが極限状態ならというのだ。
「生きる為にってもなるかもな」
「そうした話はありますね」
「こちらの世界でも同じです」
「陛下が起きられた世界でもありますか」
「やはり」
「屍に群がったりとかな」
そうした話はあったというのだ、中には子供を取り替えたりしてそうして食べたという話が残っている。
「あったしな、この世界だと人といっても種族があるな」
「二つの浮島は人間しかいませんが」
「これは例外中の例外です」
「移住したのが人間ばかりで定着してです」
「こうなりました」
「そうだよな、この世界は人といってもな」
久志はこのことは聞いているだけで見て知ってはいない。
「多くの種族がいるな」
「ですが人は人です」
「種族が違っても食うものではありません」
「間違っても」
「人が人を食えば大罪です」
「人殺しよりも重いです」
「そうだよな、それで人食いなんてな」
それこそというのだ。
「もう言うまでもない」
「そうした罪ですね」
「まさに」
「それではですね」
「法で定めなくともですね」
「よいとですね」
「しかもおぞましだろ」
罪としてもというのだ。
「そうだろ」
「はい、実際に」
「人が人を食うなぞです」
「考えただけでおぞましいです」
「実に」
「普段は、普通はないさ」
そうしたことだというのだ。
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