第二章
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「ワン」
「キャンキャン」
二匹は尻尾を振って食べはじめた、そしてだった。
おやつをあげた老婆に身体を摺り寄せてきた。老婆はそんな彼等の頭を優しく撫でた。この時からだった。
メリケルは毎日二匹と会ってだ。
おやつをあげたり頭を撫でたりして楽しく過ごす様になった。そうして彼等の家族である夫婦に話した。
「もう死ぬだけだと思っていたのに」
「それがですか」
「変わりましたか」
「ええ、出来る限りね」
夫婦の家の庭で二匹の身体を撫でつつ話した。
「一緒にいたいわ」
「そうですか、ではですね」
「これからも」
「この娘達と一緒にいるわ」
こう言うのだった、そうしてだった。
メリケルはもう後は死ぬだけとは思わず毎日犬達と楽しい時間を過ごした。すると自然と背筋も以前より伸びて元気になってだった。
毎日を過ごした、そして旅行にも行く様になり。
フロリダまで行ったがレッドバーンのフリーマーケットの中に入った時にだった。
自分と同じ位の老婆が車椅子を前に押しているのを見た、そこには小さなコリーに似た犬が座っていた。
それを見てだ、メリケルは老婆に尋ねた。
「貴女どうして座らないの?」
「いえ、チーズが疲れているからね」
「チーズ?この犬の名前かしら」
「ええ、お婆さんでね」
「ワン」
犬も鳴いた、確かにかなりの歳を感じさせる外見である。
「歩いているとこの娘も疲れるから」
「それでなの」
「ここでお買いものをする時はね」
「そうしてなのね」
「交代で車椅子に乗ってるの」
「貴女だけでなくて」
「そうしてるの。疲れるのは人も犬も同じでしょ」
老婆はメリケルにこうも言った。
「だからよ」
「そういうことね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「毎日ここでお買いものをしているけれど」
「交代で車椅子に座ってなのね」
「お買いものをしているの、そうしているとこの娘も休めるし」
大人しく座っている犬を見つつ話した。
「私も歩いて健康になれるし」
「お互いにとっていいのね」
「そうなのよ」
メリケルに笑顔で話した、そうしてその場を後にした。
メリケルは家に帰ると隣の夫婦に旅行のことを話したがこのことも話した、そうして二匹を愛し気に見つつさらに話した。
「お婆さんと猫は相性がいいっていうけれど」
「犬もですね」
「そうだっていうんですね」
「そう思ったわ、犬は生活に張り合いをくれるから」
だからだというのだ。
「いいのかもね、だからこれからもね」
「この子達とですね」
「楽しい日々を過ごされますね」
「そうしていくわ」
夫婦に笑顔で話してだった。
二匹へのブラッシングをはじめた、二匹は老婆のブラッシングを大人しく受けた。
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