第一章
[2]次話
老婆と犬
サリー=メリケルはワシントン州スカジット郡マウントパーソンに住んでいる、九十五歳になっていて三十年前に夫に先立たれてからずっと一人暮らしである。白髪で皺だらけの顔それに手に持っている杖が年齢を感じさせる。
日課の散歩をしたり家事をしたりしているが。
「もう充分長生きしたし」
「満足してるの」
「そうなの、後はね」
知り合いによく笑って話した。
「うちの人が待ってるから」
「あの世になのね」
「行くだけよ」
こんなことを言って日々を過ごしていた、だが。
隣の家にデーヴ=マッツァレラと妻のレズリーが引っ越してからそれは変わった。夫婦は特に問題のない紳士だったが。
夫婦の家族の二匹の犬を見てだ、メリケルは驚いた。
「あら、セントバーナードと」
「はい、この子です」
「ワフウッ」
「キャンキャン」
顎の先が割れて彫りのある顔と黒い長い睫毛の目と黒い短い髪と顎髭の逞しい身体の三十代の男性、マッツァレラが応えた。隣には長い黒髪と黒い目の女性彼の妻がいる。
「セントバーナードは雄で」
「雄なの」
「名前はブローディといいます」
「ロシアから引き取ったんです」
妻も言ってきた。
「この子は」
「ブローディですか」
「そうです、そしてこの娘はルルといいます」
ブローディの隣にいる小さな白と黒のふさふさとした長い毛で耳が垂れたパピヨンにやや似た犬も紹介された。
「雌でして」
「その子達がなのね」
「私達の家族です」
「いい子達なんで宜しくお願いします」
夫の方がメリケルに話した。
「これから」
「わかったわ、丁度今おやつを作っているところだけれど」
老婆はここでこのことを話した。
「食べるかしら」
「どうでしょうか」
「二匹共かなり食べますが」
「あげてみるわね」
夫婦にこう話してだった。
実際に家の中から作ったおやつ、アップルパイを二匹に出してみた。すると。
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