五十七 死者の生還
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【根】の根城に侵入。
水量から十歳ほどの子どもの姿となっているものの、【根】に囚われの身となっていた兄をようやくこの手に取り戻すことが出来た。
水槽から助け出した満月は自身が潜んでいた水筒の中に再び【水化の術】で入ってもらっている。
永い間、水槽で囚われの身だったのだ。
体力も筋力も衰えている兄を連れて逃げるのは至難の業。
それならば、液化した兄を水筒に入れて運んだほうが効率が良い。
【根】に所属している暗部に見つかったものの、すぐに再不斬の水分身によって助けられた水月は唇を尖らせる。
再不斬本人は五代目火影との取引に応じ、今現在里外で『暁』である角都と交戦中だ。
だが水分身をわざわざ残していくなんて自分の力は信用していないのか、と不満を募らせる。
その不満は再不斬だけではなく、おそらく再不斬に命じていたナルトへも向けられていた。
だから、【根】に追われている身であるにもかかわらず、水月は悪態をつく。
「人を殺した事もない甘ちゃんになんで従ってるんだよ…霧隠れの鬼人ともあろう者が」
決して口には出さないが、霧隠れの鬼人である再不斬に憧れていないわけではない。
故にナルトに従う再不斬なんて正直、見たくもないのだ。
今までナルトの力を目の当たりにしたことのない水月の悪態を、再不斬は鼻で嗤った。
「ハッ、アイツが甘いだと…?おいおい、俺を笑い殺す気か」
ククク…ッ、と耐え切れないとばかりに、腹を抱える。走る速度こそ落ちていないものの、心底愉快げに再不斬は笑った。
一頻り笑った後、水月へ視線を投げた鬼人は唇の端を吊り上げてみせる。
「アイツはな、殺しが出来ないんじゃない。やらないんだ─────解るか?この違いが」
大体、殺したことがないわけじゃない。
今でこそ虫も殺さない柔和な人間に見えるだけで、かつてのナルトはそれはもう凄かった。
それこそ、言い表せないほどに。いや、言葉にはしたくないくらいに。
なんせ殺気だけで人を気絶させることが可能の存在だ。
いや、あれは遠く離れた場所だったからこそ気絶で済んだのだ。
だからこそ、甘いだなんて世迷言を口にできる水月を、再不斬は嗤った。
「それにな。甘ちゃんなのはテメエも同じだぜ?」
そう言うなり、印を結んだ再不斬は水遁で足場を水浸しにする。
なにするんだ、と文句を言おうとした水月は、直後再不斬に「そこで軽く飛んでみな」と促され、眉を顰めた。
「ええ…それカツアゲの常套句…」
「殺すぞ」
いいからさっさとしろ、と催促され、渋々その場で跳躍した水月を確認するや否や、再不斬は素早く頭上にクナイを投擲する。
途端、水月を天井裏からこっそりと狙っていた【根】の忍び達が再不斬のクナイによ
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