第一章
[2]次話
凍り付いた猫達
アメリカのモンタナ州で獣医をしているマイク=ダターもじゃもじゃの赤髪と青い目に面長の顔と痩せた長身を持つ彼はその話を聞いて仰天した。
「えっ、この寒波の中でかい」
「そうなんです」
「外にふらりと出てです」
若いラテン系を思わせる外見の夫婦が猫を持って来て言ってきた。
「いないと思って探したら」
「うちの庭でこうなっていました」
見れば雪と氷で全身を覆われていた、身体よりもだ。
そういったものの方が多い位で毛に貼り付いている、ダターもはじめて見る酷い有様の猫であった。
「もう息をしていなくて」
「どうしたらいいか」
「何とかして下さい」
「どうか助けて下さい」
「やってみる」
これがダターの返事だった、そして。
部屋を思いきり暖かくして湯で氷と雪を溶かした、そうしてだった。
身体を湯と暖房だけでなくあらゆる手段で温めた、すると。
「ニャア・・・・・・」
「声をあげた」
「息を吹き返したのね」
「やったか」
夫婦に続いてダターも言った。
「これは」
「助かったんですか」
「フラッフィー助かったんですね」
「この娘の名前か」
ダターもそのことをここで知った、見れば。
猫は濃い茶色と白のペルシャ猫の様な細い長い毛で三歳程の雌だった、ダターは息を吹き返した彼女を見つつ話した。
「もう少し様子を見よう、怪我もしているし」
「そうですか」
「宜しくお願いします」
「きっと助けるよ」
夫婦にこのことを約束してだった。
フラッフィーの手当てを続けた、すると。
次の日彼女はすっかり元気になって連絡を受けて迎えに来た夫婦に引き渡して話した。
「どうなるかと思ったけれど」
「よかったです」
「助かって」
「この娘は僕達の娘ですから」
「本当に助かってよかったです」
「全くだ、頑張ったな」
「ニャア」
タビーはフラッフィーに声をかけた、すると彼女は愛嬌のある感じで彼に顔を向けて一声鳴いて応えた。
寒波が終わって落ち着いてからだった。
タビーは欧州に旅行に出た、そこでロシアにも行ったが。
チェリアビンスク州ズラトクブスクのホテルの停泊するロビーで一匹の黒に近いまでのダークグレーの毛の丸い大きな猫を見た、彼は自分の前を歩くその猫を見て呟いた。
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