憑魔アンビバレンス
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まれた? 初期化? どういうことです!?」
「一から説明しましょう。八神はやてに適合するユニゾンデバイスの製造、彼女の内側に入り込む監視者、という目的の下、リインフォース・ツヴァイの設計は始まりました。しかしユニゾンデバイスは現代では全く作られていないため、資料やデータはあっても技術面では不安が残りました。そこで複数の開発チームを結成し、“リインフォース・ツヴァイ”の候補となる素体を作りました。それが私達です。だから外見はほぼ同じでも、製作者や中身の部品は皆それぞれ違います。私の製作者はXOFの者で、あなたの製作者はアルビオンとカエサリオンだったように」
「ツヴァイの……わたしの……候補?」
「私達にはそれぞれ識別コードがあてがわれました。あなたにはアルベド、私にはニグレド。そしてシトリン、ルベド……最後まで残ったこの4体で性能のコンペティションを行い、最も優れた素体だけが“リインフォース・ツヴァイ”として存在する資格を得て、表舞台に立つことができます」
「他に二人も……ううん、それ以上にたくさんいたんですね……わたしの姉妹が。だけど、わたしにはあなた達との記憶がありません……もしかして、それが初期化の影響?」
「はい。リインフォース・ツヴァイに選ばれた際、初期化で記憶が消去されます。あなたがアルベドとして生きた時間は、もはや私の記録領域にしか存在していません。所詮、私達は機械……この心も、この記憶も、どれだけ蓄積しようと機械にとってはただのデータ、拡張子が異なるだけの記録の一つです。こうやって端末と接続していれば、記録の消去なんてクリック一つで出来るんですよ」
「そんな……それじゃあわたしは、あなた達を犠牲にしたことを全て忘れて、はやてちゃんの所へ行ったというんですか……」
「はい。でもその事を嘆くことはありません。これは初めから決まっていた私達の運命、選ばれた個体だけが祝福を得る。それだけの話です」
「それだけって……それだけで済む話じゃないでしょう!? あなた達だってこの世界で生きる命です! 一緒にはやてちゃんの家族になったって……幸せになったって良かったはずです!」
「おや? もしかして、あなたは私が不幸せだと思っているのですか? 負けて骨の髄まで利用される哀れな生き方を強いられたと。さすがはリインフォース・ツヴァイ、何とも上から目線の物言いですね。今ハッキリ言いましょう、あなたは思い違いをしています。あなたにとっての幸せの形は、私にとっての幸せと一致しません。確かに私達はコンペティションに負け、表舞台に出ることは叶いませんでした。しかしそのおかげで私は―――」
その先の言葉を続けようとした時、彼女の傍の投影モニターからピーっと音がする。
「この反応、そして数値……やはり
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