憑魔アンビバレンス
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無茶だけはしないでね?」
……という経緯があって、リインフォース・ツヴァイはギジタイに単独潜入しているのである。しかし実際に潜入すると彼女達の警戒とは裏腹に、グールどころかクロロホルルンの一体さえ見当たらず、敵の気配が全く感じられなかった。
一応不意打ちを警戒しながらツヴァイは進んでいるが、コントロールルームの扉の前に着くまで本当に何も無かったのでかえって違和感が凄まじかった。嫌な予感に従って誰かに見つかる前に転移するべきかとも思ったが、せっかくギジタイに潜入できたのに成果無しってのも癪だったし、アインスを助ける方法もわかっていないからこそ助ける方法に繋がる情報を手に入れたかった。
だからこそツヴァイはギリギリまで粘りたかったのだが、見る人が見れば、それは引き際が見えなくなっている、とも言えた。
「罠……なんでしょうか?」
今は次元断層が間にあるので連絡できない以上、自己判断で動かなくてはならない。しかし潜入任務の経験が多いアウターヘブン社の人間なら最悪の可能性まで考えておけるのだが、ツヴァイはこれが初めての潜入任務なので、つたない知識で頑張るしかなかった。
「(えっと……扉の向こうに敵がたくさん待ち構えてたり、開けた瞬間警報が鳴ったり……でしょうか? あんまり予想できてないですけど、何が起きても大丈夫なように出来るだけ慎重に開けましょう)」
魔力弾をいつでも発射できるように身構えながら、ツヴァイは扉のロックを解除した。自動でスライドして開いた扉の先に最大の警戒心を向けながら、ツヴァイは浮遊しながらゆっくり入る。
コントロールルームの中は全体的に薄暗く、光源は周囲に設置されている無数のスパコンのものしかないため、足元すらよく見えなかった。そんな空間の中央に向けてパイプや電気配線が集まるように繋がっており、それらからは小さくもおどろおどろしい稼働音を響かせていた。そして、ねじるように絡みついた配線の束の先端には……
「あ、あれは……わたし?」
リインフォース・ツヴァイと瓜二つの少女が鎮座していた。下半身が配線と一体化しているその姿は、まるで機械で作られた花のつぼみのよう。だが、色が違う。アインスとツヴァイを“白”と評するなら、彼女は“黒”……対極の色をしていた。
「やぁ姉妹、まだ生きてたんですね」
「きょ、きょうだい? い、いえ、わたしの家族ははやてちゃん達です! なのになぜあなたはわたしを姉妹って呼ぶんですか!? あなたは何者なんですか!?」
「私はあなたです、あなたの影です」
「え……?」
「ああ、嘆かわしいです。姉さんは何もかもを忘れてしまったのですね。共に生まれた姉妹の存在を。まぁ、メモリーを初期化されてる以上、仕方ありませんけど」
「共に生
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