宵闇アンダーワールド
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二人だけの、何にも代えられない日々だ。
「うん、ありがと」
貰った服を着てみる。
色合いは黒を基調としているが、メルシゲェテのものとは柄が異なっていた。
どんなものか、自分を見る。
自分の身は、メルシゲェテから貰った服に包まれていた。
「うん!!やっぱり、似合ってますね!!」
ああ、そうか。
やっと、わかったよ。
生きている意味なら、目の前にある。
感情も、自我も、本物だ。
そして、私は何者か。
「なぁ、名前、考えたんだけどさ」
「え?何ですか?」
語感だけで決める。人間の真似事じゃない。
「アリシデェタ。私は、今日からそう名乗るよ」
「はい!!わかりました、アリシデェタ様!!」
私は、この命に、誇りを持っている。
誰にも、奪わせはしない。
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「アリシデェタ様!!只今、帰還しました!!」
人類と白竜の戦いが終わり、戻ってきた。
「ああ、よく帰ったな」
「そうだ!!少し、変わったものを見つけました」
「何かあったか?」
「そう、あれは、まさに光魔法とでも言うべきか、とにかく、魔族と闇魔法に対して普通じゃない威力を放ちました」
「そうか、ありがとう」
光魔法、?そんな魔法、知らないな。
聞いていた限り、かなり厄介かもしれない。
もしかしたら、この前完成した奥の手が通用しないかもしれない。
そう、闇魔法の「歪み」を利用し、長い月日を掛けて作ったもの。
私の心臓に埋め込まれており、命が失われれば《《時を遡る》》という代物だ。
当然、使用者のみ記憶は保持される。
まあ、流石に危険だと思って試したことはないけど。
だが、その光魔法に、闇魔法を潰す効果があったなら、崩壊するかもしれない。
それだけならまだしも、力そのものが奪われて、そいつだけが記憶を保持したまま時を遡る、なんてこともあり得る。
「なあ、その光魔法の使い手、何か変わったことはなかったか?」
「いえ、ただの魔族と戦っていました」
なるほど。記憶を保持しているなら、そんなところで油を売っていることはないだろう。効率良く、白竜を討伐するはずだ。
しかし、そんな奴を野放しにはしておけないな。
「次の戦いで、そいつを始末してきてくれないか?」
「はい!!わかりました!!!」
ああ、でも......
「危なくなったら、帰って来いよ」
きっと本心から、そう言った。
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