刻みし一閃の燈火
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がそれぞれ再生し始めていく、その前に。
その本体へ、二本の御刀を振り下ろす。
「だあああああああああああ!」
聞こえてくる、ヤマタノオロチの悲鳴。
そうして。
神話の時代より蘇った怪物は、
封印よりも尚深い深淵へ、その魂を昇華させたのだった。
「やった……?」
着地した可奈美は、ヤマタノオロチの姿を見返す。
深紅のボディを持つそれは、だんだん体内の結合を解き、液状になっていく。それは、地下のマグマだまりの上にどんどん広がっていった。
「これは……ノロ……!」
その正体をすぐに言い当てた可奈美は、静かに屈む。指でなぞると、ノロの一部が指にこびりつく。
「……美炎ちゃん、コヒメちゃん」
「これ……」
「もう……大丈夫」
コヒメは、静かにヤマタノオロチのノロへ歩み寄った。
「でも、他のノロとはちょっと違う。もともとあったノロのヤマタノオロチだから、御刀があっても完全に祓うとは言い切れない」
「そっか……」
「何か、方法はない?」
その問は、美炎。右腕を抑える彼女は、ヤマタノオロチだったものを見下ろしながら近づいていた。
「多分、ヤマタノオロチはこれまでずっと辛かったんだと思う。それこそ、わたしたち人間が御刀とか、刀使とかを作る前から」
「……今のわたしじゃ、分からない」
コヒメは静かに首を振った。
「でも……きっと、ツクヨミも、わたしと同じように、分かり合える時が来ると思う」
「倒さないの?」
腕を抑えながらやって来たハルトの問いに、可奈美は首を振った。
「だって荒魂は、悪い存在じゃないから。ただ、寂しいだけだよ」
「寂しい?」
可奈美は頷く。すると、その足元に黄緑色の紋様が現れた。何かの花模様にも見えるそれが輝きを放つと同時に、可奈美は千鳥を立てる。
「でも、今はまだ、ヤマタノオロチを迎え入れる準備が出来ていない。だから、今は封印する」
そうして始まる、祭祀礼装の舞。
左手に持った鈴祓いを鳴らしながら舞を続けていくと、足元の花模様が回転していく。すると、ヤマタノオロチを構成していたノロがどんどん集まっていく。可奈美の花模様の中心点である、もともとヤマタノオロチが封印されていた地点。
やがてノロが地深くに集まり、砕かれた社が再生されていく。
すべてが元に戻っていく中。
可奈美は一人。誰にも聞かれることのない、ヤマタノオロチへのメッセージを、可奈美は口にした。
「次に目が覚めた時は、人間と共存できるようになっているといいね」
静かに目を開けた可奈美。
やがてヤマタノオロチを構成していたノロは、全て最初に現れた穴に吸い込まれていき。
胎動を繰り返していたマグマは冷め
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