終焉の鐘
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その少年の方へ振り返り、言った。
「ありがとう、本当に、助けられた。あなたに、感謝を」
心からの思いを、口にする。
命が助かった安心よりも、それよりも大きい感謝と、今まで以上の笑顔で。
貴方は、俯いたまま、何も言わない。
人一人助けたことを、微塵も誇ろうとしない。
ーもし、ただ一つ叶うなら、その孤独な道行に。
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寝床に蹲り、我が身を呪い続ける。
自業自得だ。勝手に間違えて、勝手に苦しむ。
哀れで、滑稽で、何よりも気持ち悪い。
涙は止まった。声はもう枯れた。
残ったのは、ただの空っぽな器だ。
感情の暴走が峠を越えて収まってくる。
残ったのは、ただ空虚な心だ。
こんな生に意味は無く、
たった一つ、信じていた物さえ裏切り、
残ったものはただ空虚で、
呼吸をすることが、嫌で仕方ない。
ーああ、もういっそ、このまま。
毛布に顔を埋め、呼吸を止める。
このまま死んでしまえば、救済はない。
墜ち行く先は、自我さえない虚無だ。
それでも、僕には、もう立ち上がる資格が無い。
望みは絶たれた。決意も覚悟も砕け散った。
成し遂げたことは何もない。無駄な人生だった。
ただ一つ、叶えたい願いすら思い出せない。
ー......................さようなら。
「来たぜ。邪魔だったか?」
そこに立っていた。ここまで来たのに、気付かなかった。
「どうした?何かあったみたいじゃないか」
ローゼマリー中佐は、僕の前に立ち、そう尋ねる。
僕は.....
そこから立ち上がる。
言葉が、口をついて出てきた。
「僕は、間違い、重大な失敗をしました。たった一つ、信じていたものさえ裏切って」
何故か、ありのままを口にしていた。
「そうか、失敗、か。ところで、それを後悔しているか?」
後悔?ああ、それはそうさ。
するに決まっているだろ。
「......ええ、後悔していますよ。あの時、違った行動をとっていれば...」
「なら.....
後悔しているなら、それは、《《次はもっと上手くできる》》って、そう思っているってことじゃないか」
次?そんなものは...
いや、まだ、戦いは終わっていない。
「後悔は、次はもっと上手くできる、二度と失敗しないという、《《自信》》の現れだ。」
ー.....................
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