暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜
いい鉄砲は打ち手を選ぶ
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一瞬でも迷いが生まれるはず。
(迷ったらもうボールは打てないよ)
その思惑通り投じられたチェンジアップに莉子は体勢が崩れる。タイミングは合っていたが前の二球……さらには前の打席の残像からバットがボールの上っ面を叩いてしまい、ショートへの緩いゴロになってしまった。
「すごいですね、あんなフォーク初めて見ましたよ」
本部席から見ていた男性がそう言う。それに答える町田は冷静な表情を崩さない。
「アンダースローだとフォークは投げにくいはずなんだが、あいつは身体が柔らかいからか地面スレスレから投げれるんだ。だから握り方を工夫すると落ちるボールが投げれる」
「握り方?」
ポケットからボールを取り出す町田。その握り方は通常のフォークとは異なり、中指と薬指の間で挟み、他の三本の指でボールを押さえ付けるような形になっている。
「シンカーみたいな握りですね」
「シンカーの変形と思ってもらっていいかもな、この形から手首を寝かせて抜いてやると回転が抑えられる。ただ下から上に抜いてるから一瞬浮き上がってるように見えるんだ」
「実際には浮いてないんですか?」
「無回転のボールが浮くわけないだろ?下から出てくるからそう見えてるだけ。わかりやすく言うとただの山なりのボールがアンダースロー特有の軌道で来るから目が付いていかないだけなんだ」
その説明に納得がいっていない者も多いが、教えた本人がそう言うのなら間違いないのだろうと無理矢理納得させる。ただ、そうなると新しい疑問が浮かび上がる。
「他校の選手にそんなボール教えたら困りませんか?」
彼が強化指定選手や日本代表の監督を務めていたとしても、自身が指導している高校の脅威になるほどの球種を教える理由がわからない。細かな技術ならまだしも、変化球を教えるなど普通は考えられない。そう思い問いかけたが、彼はニヤリと笑みを見せた。それは悪人のようなものになっており、見ていた者の背筋を凍らせる。
「いいことを教えてやる。どんな強力な武器を持っていてもそれだけじゃダメなんだ。《いい鉄砲は打ち手を選ぶ》勝負の世界では重要な言葉だ」
『4番サード渡辺さん』
2アウトランナー二、三塁。莉子の当たりはボテボテだったことが幸いし栞里も紗枝も刺されることはなかった。アウトカウントが増えた状態でランナーは進塁、結果としては痛み分けである。
(でも2アウトまで漕ぎ着けた。そして渡辺は前打席で申告敬遠だから桃子とはこれが初対戦になる)
試合を見守る佐々木は打席に入った優愛を見た後、マウンドでロジンを付けている遠藤を見る。
(ランナーは三塁までいったけどフォーク
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