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おぢばにおかえり
第六十八話 入学式その二十一

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「嫌いなのね」
「もう怨み恨み憎しみですね」
「そうした感情本当に何とかしないと」
「嫌いになったら止まらないですからね、僕」
「それで相手の嫌がること徹底的にするのよね」
「いつも考えて調べて」
「それやったら相手の人怒るわよ」
 新一君の心の闇を知りました、そこまでするとか異常です。
「幾ら嫌いでも」
「本当に嫌いになるとなんですよ」
「止まらないのね」
「だから人は出来るだけ嫌わない様にしています」
「嫌うとそうなるからよね」
「はい、自分でもわかっていますから」
「わかっているならなおしなさいって言うけれど」
 このことは変わりません。
「新一君はまた極端過ぎるわ」
「例えばあの長ええと」
「長池先輩ね」
「あの人についても」
「先輩にそんなことしたら何があっても許さないからね」
 このことは絶対にです。
「いいわね」
「先輩がそう言われますから」
「しないのね」
「けれどあの人が自分に絶対の正義があると思って相手の人に徹底的に残酷なことしたのは事実ですよね」
「だから新一君もするの?」
「僕には絶対の正義なんてないですよ」
 この返事はあっさりしたものでした。
「いつも」
「自分を正しいって思わないのね」
「人は間違えますから、それにこんな性格ですから」
「思わないの」
「卑劣で陰湿な人間が正義かっていうと」
「違うっていうのね」
「はい、あと僕あのスキンヘッドで濃い眉毛の作家みたいになりたくないですから」
 こうも言ってきました。
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