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ドリトル先生とめでたい幽霊
第六幕その十二

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「そして鰻の切り方もね」
「それも違うんですね」
「大阪では腹から切るけれど」 
「関東、東京ですね」
「あちらでは背中から切るんだ」
「そうですか」
「腹から切ると切腹になるからね」 
 だからだというのです。
「東京、江戸は武士の人が多かったから」
「切腹はよくないですね」
「そう、だからね」
 その為にというのです。
「背中からね」
「切っているんですね」
「そうなんだ」
 これがというのです。
「あとあっちじゃ昆布も食べないしね」
「だしにも使わないですか」
「そうだよ」
「本当に違うんですね」
「鱧だけでなくね、あと大阪は鯖もよく食べるね」
「ですね」
 実際にとです、トミーも頷きました。 
「あちらは」
「そのこともだよ」
「特徴ですね」
「そうだよ」
 大阪の食文化のです。
「お寿司でもバッテラがあるしね」
「あれは大阪のお寿司ですね」
「他の地域にはないんだ」
 バッテラもというのです。
「実はね」
「そうなんですね」
「色々なものがね」
 大阪ではというのです。
「独特なんだ」
「食文化にしても」
「そうだよ、ではね」
「これからですね」
「鱧を食べようね」
 このお魚をというのです。
「そうしようね」
「それでは」
「楽しみだよ」
 鱧もというのです。
「食べることがね」
「それは何よりです」
「活きがいいんだね」
「はい」
 そうした鱧だったというのです。
「これが」
「だから買ってくれたんだね」
「そうです、鱧はイギリスどころか」
「関東にもないからね」
「本当にそうですね」
「イギリス人で鱧を知っている人どれだけいるかな」
 先生はふと思いました。
「一体」
「殆どいないでしょうね」
「鰻は知っていてもね」
「それでもですね」
「穴子は知らなくて」
 それでというのです。
「もう鱧になると」
「殆ど、ですよね」
「そして調理の仕方も知らなくて」
「食べると美味しいこともね」
「知らないですよね」
「まず確実にね」
「というか」 
 さらに言うトミーでした。
「僕も最初鱧を見てです」
「食べられるとはだね」
「思いませんでした」
「顔も怖くてね」
「しかも小骨も多いですから」
「しかし小骨を切って食べると」
 これがとです、先生は言いました。
「最高に美味しいね」
「本当にそうですね、では今夜は」
「その鱧をね」
「皆で食べましょう」
「そうしようね」
 笑顔でお話してでした。
 先生も皆も鱧を食べるのでした、日本の関西でしか食べないそのお魚もとても美味しいものでした。
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