セルコー討伐戦B
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マリー中佐は、自分を助けた少年に振り返った。
何だ?僕は、何をしているんだ?
こんな行動は、正しくない。許されない。
「ありがとう、本当に、助けられた。あなたに、感謝を」
僕が、神の教えに反したのか??
ただ一つ、信じていたものを、自らの手で裏切った。
絶望し、狼狽し、悲嘆に暮れる。
(これは、光?闇魔法を弾いた。少し当たった個所の皮膚が爛《ただ》れている。まさか、魔族と闇魔法に効果を発揮する魔法?アリシデェタ様に報告しないと)
どうして、こんなことをしたんだ。
聖典に示された正義じゃない。
自分の、つまらない、身勝手な意思で、神に背いた。
愚かで、醜悪極まりない。
「二対一じゃ分が悪いか。ここは退散しよっと」
黒い少女は、魔王城へと帰っていく。
気が動転する。
胸の中が潰れそうだ。
視界が歪んで前さえ見れない。
どうしようのないほど顔を曇らせて、ただ俯く。
「四天王、シュニィドラゴン、討伐完了!!!!」
向こうで、人類が四天王を討伐した。
「や、やったぞぉぉ!!!!!!!!」
人類は、強敵を打倒した喜びに酔いしれた。
手を挙げ、叫び、飛び跳ね、戦友と顔を見合わせる。
剣を持つ手が、震えて止まらない。
足がすくんで、立っているのさえもう耐えられない。
鼓動の音さえ聞こえず、目は真っ黒になったように何も見えない。
このまま、一歩だって動けなかった。
「総員、帰還する!!!!!」
戦いを終えた人類は、雪原を後にした。
ごめんなさい、神様。
僕は、間違いを犯しました。
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