第七十七話 王都の地下世界
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「二人とも何をやっているんだ。早く引っ張らんか」
「いえね、分隊長。ジャックさんが……」
魔法のランプはゆっくりと奈落の底へ落ちて行き、そしてランプの光も遠く消えてゆく……と思われた。
「ランプの光が」
「止まった」
暗闇の中へ落ちてゆくと思われた魔法のランプは、闇の中で突如止まった。
再び、ゴモォという、ぬめった水音の不快な音が聞こえ、奈落の底から『奇妙なもの』浮き上がってきた。
「巨大スライム!?」
ジャックが落とした魔法のランプで、奇妙なものの姿が見えた。
「なんだがやばそうだ。早いところ救助してしまおう」
「了解っす」
三人は急いでロープを引っ張った。
「もう少しだ!」
奈落から競り上がるスライムはとてつもなく巨大で、空洞一杯に広がる奈落の底全体から巨大スライムがせり上がって来た。
「アンリエッタ様、もう間もなくです!」
「ありがとうアニエス。私は大丈夫よ」
「ルイズ様ももう少しですから頑張って下さい」
「う、うん!」
ようやく三人は桟橋のところにたどり着いた。
「ルイズから先に引っ張り上げてちょうだい。私は後で良いわ」
「畏まりました王妹殿下」
アンリエッタに従いルイズから救助を開始する。
ジャックは、アニエスの身体に固定されていたルイズを引き上げ桟橋の上に降ろした。
「次は王妹殿下です」
「うん、アニエスありがとう!」
アンリエッタはアニエスに礼を言うと、ジャックに持ち上げられ、ルイズと同じように桟橋の上の降ろされた。
「救助完了! 直ちに脱出する」
「本部へ救助の完了と、巨大スライムの出現の報告を終えたっす」
「分かった。アニエス早く上がれ、脱出する!」
「了解!」
アニエスが桟橋に手を着くのと、巨大スライムが粘液を飛ばし、張られたワイヤーロープを溶かすのは同時だった。
溶けて切れたロープの残骸は重力に従って巨大スライムの上に落ち、瞬く間に溶かしてしまった。
「ヒューッ! 危ねぇ……」
「鋼鉄製のロープが溶けぞ!」
「急げ脱出だ! それと本部と各部隊に警報を出せ! 内容は『巨大スライムと会敵。触れるもの全てを溶かす』とな!」
デヴィットは手早く指示を出した。
「ジャックとヒューゴはお二方を背負って地上へ脱出しろ。脇目を振るな、お二方の生存が最優先だ!」
「了解」
「了解っす」
ジャックとヒューゴは、アンリエッタとルイズを負ぶって、再び迷宮へと脱出を始めた。
「アニエス達はどうするの? ちゃんと脱出するんでしょ?」
アンリエッタが泣きそうな顔でジャックに聞いてきた。
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