第七十七話 王都の地下世界
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確かめ固定されていると確認すると、足元の床に鉄製の杭を打ち込みロープを固定した。
たちまち、アニエス達とアンリエッタ達の間にワイヤーロープが繋がった。
「こっちは準備完了だ」
「こららも準備完了です」
アニエスの戦闘服には命綱とロープにぶら下がっても両手が使えるように鉄製のキーリングが付けられていた。
「よし、救助活動開始」
「了解!」
アニエスはキーリングにロープを装着すると、スルスルとアンリエッタらの所へ降りていった。
……
派手に動いてワイヤーロープを外さないように、慎重に降りるアニエス。
やがてアニエスは、アンリエッタとルイズがしがみ付く窪みまで到達した。
「アンリエッタ様、ルイズ・フランソワーズ様、お待たせいたしました」
「アニエス!」
「ううう……!」
ポロポロと涙を流す二人を抱きしめるアニエス。
持ってきた予備のロープで二人を二重三重に固定し、後はヒューゴ達に命綱を引っ張って上げて貰うだけだった。
「固定完了です!」
「よし、引っ張るぞ!」
デヴィットらは命綱を引っ張り、アンリエッタらを抱えたアニエスを引き上げ始めた。
「ううう」
「どうしたのルイズ? 私達助かるのよ?」
中々泣き止まないルイズにアンリエッタは声を掛けた。
「ずっと私たちのこと見てる」
「見てる? なにが見てるの? 分からないわ?」
「ずっと下になにか居て、私たちを見てるんだもん!」
「下は真っ暗で何も見えないわ」
「でも、何かいるのよ!」
アニエスは二人の会話を聞き奈落の底へ目を向ける。
「……」
目を凝らしても何も見えない。
ただ、奇妙な生臭い臭気が、奈落から漂ってくるのが分かった。
「……急ぎましょう。お二方はしっかり掴まっていて下さい」
「分かったわアニエス、ルイズもしっかり掴まっていなさい」
「……うん」
改めて二人はアニエスの身体にしがみ付く。
命綱を引っ張られながら、アニエスら三人は、空洞のちょうどど真ん中辺りまでたどり着いた。
その時……
……ゴモォ
「……んん?」
ロープを伝っていたアニエスは、奈落の底の空気が一段ほど競り上がった様な、変な感覚を受けた。
その感覚はルイズやロープを引っ張っていたジャックも受けた様だった
「どうしたんですかジャックさん」
「……」
ジャックは持っていた魔法のランプを奈落へ向けてかざした。
だが、ランプの光は周辺を明るくするだけで奈落の底を見る事ができない。
ジャックは魔法のランプを、奈落へ向けて放り捨てた。
「ああ、もったいない」
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