194 忘れていた恋人
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和光はしめたとニヤリと微笑む。
「杯を分捕る時にゃ持ち主のガキは殺さずに生け捕りにした方がいいって事だ。その方が面白え」
『杯の持ち主を、か?』
その時、相手の声が変わった。
『やっぱり、藤木か?』
「はい?」
『失礼。取り込んだ少年が時たま出てくるのだ』
「そうか、ところで俺が出したゴジラが杖の持ち主達を足止めしているはずですが、上手く行ってますか?」
『今確認した所、怪物は倒されたが、私の力で一時的に復活させて目的地から遠ざけた。杖の奪取は失敗したがな』
「そうか、まあ、また何度でも出してやるよ」
『それより、貴様に与えた映写機なるものの作り具合は良いものらしいな』
「はい、山田義昭とあの雷の山を乗っ取ったお陰よ」
『なら、今私が取り込んでいる少年の記憶も見てみたいものだ』
「あいよ、今、そっちに戻らあ」
少年は自身の記憶を振り返った。夏休みに会ったあの少女は東京に住んでいる。もう会えないと思っていたが、本当にあの人は連れて来てくれるのだろうか。
(もし会えるのなら・・・)
少年は胸の鼓動が激しくなるのを感じた。その時、自分の部屋に誰かが入って来た。
「茂様、どうされましたか?」
屋敷の遊び相手の女性が二名現れた。
「いや、何でもないよ・・・」
少年は己の思考を読み取られまいと誤魔化した。
「悩みがあるのではないですか?あの男の人が来てから」
「それに誰をお嫁にしようか迷い続けてるって紂王様から聞きましたよ〜」
「う・・・」
少年はもしかしたら早く決めて欲しくてウズウズしているのかと推測した。
「でも、大丈夫ですよ。たとえ私達を選ばなかったとしても私達はずっと茂様のお友達ですよ〜」
「私も茂様の幸せを祝福させていただきます!」
「ありがとう・・・」
少年はホッとした。やはりこの世界は最高だ、と思うのであった。
領土攻撃班の上市明日香と田あやはそこの住人、ラクシュミーと共に東側の領土の侵攻および奪還に動いていた。
「ここも我々の領土だった地。攻め込むぞ!」
「はい!」
ところがそこの領土に住む者が攻撃にかかる。
「貴様らが来る事は解っていた。ここで死ね!」
敵は何千人もいた。大量の矢が雨のように振りかざされた。上市の手袋で結界が張られて何とか防いだ。
「誰やねん、あれは!?」
「あれはロシアの革命を起こした民衆共だ!多勢に無勢すぎる!」
しかし、だからといって逃げても勝ち目はない。
「ええい!」
田が龍を召喚する。龍が火を噴くが、矢で火がかき消されるというありえない事態が起きた。
(逆転の余地はあるのか・・・!?)
ラクシュミーにも不安が募る。高田の出した龍が民衆を噛み砕こうとする。数人を食殺した程度だった。その時だった。空から民衆に向け
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