第2部
エジンベア
美少女コンテスト予選・後編
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」など、言いたいことを囁き合っている。
「でもまあこれで、優勝は決まったも同然ですわね。名残惜しいですが、あなたと一時でも同じ舞台で戦ったこと、わたくしは忘れるまで忘れませんわ」
すると王女はわざとらしくため息をつき、私のことなど眼中にない様子で、
「そしてわたくしは、ユウリ様と将来を誓い合った関係になるのですわ!! ああ、なんて待ち遠しいのでしょう!!」
そう言ってその場でくるくると踊ったではないか。なんかもう完全に自分の世界に入ってしまっている。
「そうだわ! 最終審査が始まるまで、またユウリ様に会いに行こうかしら! ユウリ様もきっとわたくしがやってくるのを心待ちにしてるはずですもの!!」
一人で納得すると、ヘレン王女は私のことなど見向きもせず、一目散にこの場から走り去った。
「なんだったの、今の……」
彼女と話すだけで、なんだかどっと疲れが出てきた気がする。
「あの……、ミオさん?」
おずおずと声をかけてきたのは、マギーだった。
「私はミオさんの正拳突き、とても美しかったと思います!!」
マギーは瞳をキラキラさせながら、興奮気味にそう言ってくれた。
「ありがとう。でも、美少女コンテストで披露するには場違いだったよね」
「いいえ! 美しさを競うコンテストに、場違いも何もないじゃないですか! それを言うなら私だって、勇者物語を語ったことが場違いじゃないとは言えないですよ。何より、他人の努力を貶すような人こそ、私は美しいとは思いません」
そう言ってマギーは、両手でしっかりと私の手を握りしめる。その手の温もりが、私の沈んでいた気持ちを溶かしてくれる。
「ありがとう、マギー」
ユウリたちと離ればなれになって心細さを感じていた自分にとって、マギーの存在はとても嬉しかった。
ってあれ? そういえば王女はさっき、ユウリに会うって行ってたけど、観客席まで行くつもりなのかな?
予選通過の発表があるまで時間があるとはいえ、王女様があんなところにいたら、ちょっとした騒ぎになるんじゃないだろうか? それに、騒がしいのが嫌いならユウリのことだ、尚更嫌がる姿が目に浮かぶ。まあ、ビビアンかアルヴィスがなんとかしてくれるだろう。
「はあ……。せっかくみんなに後押ししてもらったのにな……」
予選を振り返ると、満足の行く出来とは言えない。私はモヤモヤした気持ちになりながらも、予選通過の発表を待つしかないのだった。
「では、まもなく予選通過者の発表を行います!! 出場者の皆様はステージ上にお集まりください!!」
全ての出場者が出揃い、ほどなく司会の人がステージ上でアナウンスを始めた。
いつのまにか戻ってきたのか、ヘレン王女が我先にと舞台を上る。私はマギーの後ろに並び、ステージでは彼女の隣に立つことにした。
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