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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
かくしてアイドル対決は、阻まれる(中編)
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「ダメだ…キリがない!!」

特設ライブ会場からやや離れた場所。
そこでは八百万ソフィーが単騎で生きた屍の大群と戦っていた。
誰よりも早く彼女はライブ会場に迫る悪意の気配に気付き、その場所へと赴いたのだが、倒せど倒せど敵はとめどなく湧いてくる。
厄介な能力を持たず、動きが鈍いのは幸いだがこのままでは数に押しつぶされてしまうだろう。

能力を使い、幻想郷の住人を呼び出すのは今だけはできない。
今呼び出しているのは雷鼓、九十九姉妹の二人。
彼女らはウィステリアのライブで今手が離せないはず。

しかしソフィーは知らない。
生きた屍が攻めてきたのはここだけではないということ、
様々な方向からやってきて、ついにライブの観客に犠牲者が出て大変なことになっているのも、

?

ライブ会場。
先程まで賑やかだったそこは、今や正反対の悲鳴や叫びで阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。
突然押し寄せてきた謎の屍。
呻き声を上げながら手を伸ばし、不安定な足取りでこちらに向かう様はまさにゾンビだ。

「この…ッ!!」

押し寄せてくる無数の屍に対し、あたしと香子は死ぬ気で対抗している。
自分の命は大事だけど、何より避難している観客たちも守らないといけない。
しかしこのままでは数の暴力で押しつぶされる。

なら…!

「葵様!!」

駆ける。
そして屍達の群れに突っ込み、片っ端から殴って蹴って殺していく。
香子が手を伸ばして戻るように訴えかけるも、あたしはそれに視線だけ返す。
すると、

「…わかりました。」

あたしの意図を、理解してくれたみたいだ。

「ー限り有れば 薄墨衣 浅けれど」

それは恨みと哀しみに満ちた歌。
悲運を歌ったその歌はたちまち呪詛となり、対象を呪い蝕み滅びを招く。
それが妖の類なら尚更。

「涙ぞ袖を 淵となしける」

あたしが突っ込んだのは的になるため。
より多くの屍を一箇所に集め、まとめて消し去るつもりだからだ。
そうして歌を詠み終え、香子が筆を持った右手を持ち上げ、宙に五芒星を描いて宝具は完成する。

「…『源氏物語・葵・物の怪(げんじものがたり・あおい・もののけ)』。」

強力な魔性特攻を備えた香子の宝具。
生きた屍達はもう呻き声をあげることも無く、塵となって崩れ落ちていった。
呪いには呪いを。
魔性には香子を。
頭を潰されても活動できる奴らでも、さすがにこれはこたえたらしい。

「…ふぅ。」

詠み終えた香子はほっと胸をなで下ろしている様子。
まぁ、無理もないというかあたしが悪いと言うか…。

「やっぱ効いたね。香子の宝具。」
「葵様!今回は何とかなりましたが思いつきで敵陣に飛び込むのはおやめください!」
「ごめん
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