第二章
[8]前話
「そうね」
「お姉ちゃん阪神ファンだから」
「そうよ、だからね」
「毎晩お寺に行ってなの」
「お百度参りしてたのよ」
「ああ、毎晩そうして」
「百回お参りしてお願いしたらその願いが適うっていうから」
それでというのだ。
「それをね」
「してたのね」
「そうなのよ、終わってから言うつもりだったけれど」
「そうだったのね」
「そうよ、阪神優勝に藁人形は関係ないでしょ」
「それはね」
妹もその通りだと答えた。
「全くね」
「それに私今言ったけれど」
「呪わないのね」
「他の誰かがやったのよ、じゃあ今日もね」
「お参りするのね」
「そうするわ」
妹にこう言ってストレッチを再開した、そしてその夜もだった。
姉はお百度参りに出た、開幕直前にそれを達成して妹に言った。
「これでよ」
「お百度参りしたから」
「阪神優勝間違いなしよ」
「そうなったらいいけれどね」
「ええ、それであの藁人形だけれど」
姉はこちらの話もした。
「住職さんに聞いたらこの前夜に変な人来たのを見て聞いたらね」
「誰だったの?」
「泉さんだったわ」
「うちの先生じゃない、自衛隊とか政府の悪口ばかり言う」
「あの人が今の総理大臣を呪ってよ」
「藁人形打ってたの」
「住職さん人を呪ってはいけないって注意して追い返してね」
そうしてというのだ。
「藁人形も返したそうよ」
「総理が憎くてしてたのね」
「そうみたいよ」
「そんなことする人実際にいたのね」
「ええ、学校の先生がね」
生徒を教え導くべき者がというのだ。
「そうしていたのよ」
「そうなのね」
「ええ、けれどね」
「先生注意されたし」
「そっちの話も終わったわ、じゃあ十月になったら」
紀香は満面の笑みで語った。
「阪神の胴上げ見ましょう」
「私パリーグ派でソフトバンクファンだからそっちにするわ」
「じゃあシリーズで会いましょう」
「その時は負けないわよ」
「こっちもね」
姉妹で笑顔で話した、そして由香はその後その教師が満員電車の痴漢で捕まって懲戒免職になったことを聞いた。人を呪わば穴二つということそれに人を呪う様な輩はどんなものかをこの時に知った。
夜に出る理由 完
2022・2・20
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