暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
青天の霹靂 その3
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に紐を取りに走った
「恐らく、10分もしないうちに警備が来て、お前は捕まる。
詳しい話は、後で聞かせてもらうぞ」

 5人乗りのジープが2台止まる
白地のヘルメットにMPの文字が掛かれた腕章、黒革地のサムブラウンベルトを締めた兵達が降りて来る
「おい!木原、氷室、大丈夫か」
別な方角から、野戦服に鉄帽(ヘルメット)姿の巖谷が声を掛けて来る
小銃を抱えた数名の兵を連れ、やってきたのだ
彼は、警報音により複数の足音が近づいて来るのに気付かなかった
 遠くには、白い五芒星(ごぼうせい)が描かれたジープが見える
巖谷が来た前後、米軍のMP(憲兵)が敷地外まで来た模様だ


「いや、失礼しましたな。木原マサキ曹長。
もう少し歓談を楽しみたかったのですが、どうやらMPが来た様で……」
軍刀を手にして駆けてきた篁達が近づく
彼等を押しのける様に彩峰が、前に出る
軍帽に、オーバーコートを着ていたが、下は白いフランネルのシャツ一枚であった
押っ取り刀で来たのであろう
「貴様等は、毎度毎度騒ぎばかり起こして、我々を侮辱しているのか」
右手に握った刀を、左手に移す
彩峰は刀に手を掛けると、叫ぶ
乱波(らっぱ)風情が、何をしている」
男は観念したかのように目を瞑ると、()頓狂(とんきょう)な声を上げる彩峰に返す
高らかに笑い彼の方を向く
「君も……、無粋な男だな……。
《翁》が知られたら、さぞ嘆かれるであろうよ」
暗に五摂家の関係者と近いことを匂わす
 
 男の態度を不快に感じたマサキは弁明する
「俺は悪くないぞ。この帽子男が名乗らずに蔭から出てきたので、誰何(すいか)した迄の事よ」
消防車のサイレンが聞こえる
如何やら、大騒ぎになってしまった様だ
彼は、天を(あお)ぐと観念することにした

 騒ぎは基地内で済む話で終わらなかった
不審に感じた彩峰は、駐在武官経由で国防省に問い合わせたのだ
返答があったのは城内省
逆に篁、巖谷の両名に当てた《叱責》する電話が来た
城内省を仕切るナンバー3の軍監直々の《苦情電話》
慌てぶりからは上層部、特に五摂家の関与を感じさせた
一番怪しまれた情報省からの連絡はなかった
彼等は沈黙を通した


「おい、殿中出入り御免のワカサギ売りの商人(あきんど)風情(ふぜい)が、こんな欧州くんだりまで来るのか」
机に腰かけ、腕を組む彩峰は、目の前で平謝りを繰り返す大使館職員達を一括する
彼は、京の将軍御所に出入りするワカサギ売りの商人という前提で話を進めた
「そもそも何で霞ケ浦のワカサギ売りが、都まで売りに来るのだ……」
巖谷が、逆に彼に問うた
末席とはいえ斯衛軍(このえぐん)に身を置く彼にとって、その話は腑に落ちなかった……
「私が、当人から以前聞
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