第二部 1978年
ミンスクへ
青天の霹靂 その3
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マサキは夕刻、一人、ゼオライマーの中に居た
次元連結システムの簡単な動作確認と出撃可能な様に整備を進める
数日前、ウクライナのセバストポリを化け物共が襲った
少なくとも自身がカシュガルハイヴと呼ばれる構造物を地中深くから崩壊させて以降、目立った動きはなかったはずだ
思い当たる節があるとすれば、その攻略の際、地中奥深くで遭った異形の化け物
その際に受けた攻撃を解析して、その事例に前後するように、戦地で一時的に生け捕ったBETAに解析した周波数を照射したことであろうか
確かに、暴れはしたが、即座に次元連結砲で灰燼に帰した
或いは、宇宙其の物から異次元のエネルギーを変換させる次元連結システムの作用が、この異世界に与えたのか……
この禍々しい化け物自身を構成する物質に、何かしらの時空間への影響を及ぼす作用が有るのか……
消滅したはずの自身とゼオライマーを呼び寄せる存在……
有るのであろうか
確かめてみたいし、知りたくもない
その様な相反する気持ちに悩む
気分転換にと、機外に降り立ち、駐機場の端に向かう
灰皿用に赤く染めたペール缶の前に立つと、胸ポケットからレギュラーサイズのタバコを出し火を点ける
頭を冷やして考える
今までは遊びを優先で事を進めてきたが、次元連結システムと怪物に何かしらの影響が出る様では怪物どもを素早く片付けねばなるまい
そして、この世界の人間どもを様々な策を弄すのも良かろう……
水の張った灰皿にタバコを投げ捨てると、機体に向かう
操縦席に乗り込むと操作卓に触れ、電源を入れる
美久が駆け寄ってきた
普段着て居る保護具付きの操縦服ではなく、件の衛士強化装備
幾度見ても、あの肉体その物をそのまま曝け出してしまう姿格好には慣れない
一旦降りて機体の足元で、腕組みをして待つ
すると声が聞こえる
「お待たせしました」
腰を曲げ、両腕を膝に付き、肩で静かに息をつく彼女が居た
垂れ下がる長い髪の隙間から見える首筋は、艶かしく、劣情を引き起こさせる
我ながら、形状記憶シリコンと推論型AIの完成度に満足した
「お前自身が機械なのだから、あんな木偶人形で操縦士遊びをする必要もあるまい」
彼は後ろを向くと再び乗り込む準備をし始める
《ペルシャへ、冷やかしに行く》
無論、連中には話は通してある。
すっと潜って、巣穴を焼いて帰ってくるだけ
簡単な作戦……
そう思っていると、奥より見慣れぬ人影が表れる
《ドブネズミ色》の背広姿に、茶色の膝下丈のトレンチコート
中折帽を被る男が、薄ら笑みを浮かべて近づく
オーバーのマフポケットに両手を突っ込み、此方へ歩み寄る
およそ軍事
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