暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
まだ見ぬ球種
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ちが何に気付き、どのような攻めを見せているのかわからないモヤモヤした気持ちを抱えたまま試合を見て観察するしかなかった。
















キンッ

「ライト前ヒットですか」
「桃子がこんなに連打されるのは初めて見たな」

こちらは本部席から試合を見ている各校の顧問たち。その中で町田は他校の部長と話しながら試合を見ている。

「明宝はまるで球種がわかっているかのような打ち方ですね」
「かのようなじゃなくて本当にわかってるんだよ。もっとも、おおよそにはなるがな」
「おおよそ?」

もちろんこれには男性も意味がわからない。他の本部席にいる者たちもそれが気になり二人の会話を盗み聞きしていた。

「桃子が球種が多いからな、岡田を責めるのはできないかな?」
「岡田に原因があるんですか?」

そうだ、と頷く町田。それを聞いて全員が岡田に視線を送る。

「ライズボールの時は上からボールを見たいからどうしても立ち上がってしまう。ストレートの時は思い切り投げさせたいから一度両手を広げてからミットを構える。その他の変化球では低めを意識させたいから極端に姿勢を低くするんだ」
「それだとカーブとシュートの見極めが難しいですけど」
「あのくらいの球速で変化量も大きいからな。投げた瞬間にどっちか見極めるのはそう難しくない」
「なるほど」

言われてから見てみると確かに一球ごとに構えが違う。しかしそれは投手の力を最大限に活かすものだと考えると彼女のことを責めることはできない。

カキーンッ

1アウト一、三塁から紗枝が三球目のシンカーをうまく捌いてレフト前へと運び伊織が生還。なおもチャンスのままクリンナップを迎えた。

「伝令が出てきましたね」
「継投にでないあたり相当桃子を買ってるんだな」
「それは町田先生もですよね?」
「まぁ……これだけ制球力があればな」

遠藤は多彩な球種に加えてほとんど四死球を出さない制球力が評価されている。それは他校の監督から見ても目を見張るものがあるようだ。

「佐々木さんは気付いてますかね?」
「気付いてても迂闊なことは言えないだろう。岡田が気にしすぎてプレーに集中できなくなったら元も子もない」

果たしてどんな伝令が飛んだのかはわからないがすぐにマウンドから散る選手たち。岡田の表情を確認するが、何か気にしている素振りは見られない。

「桃子を落ち着かせるための伝令か?」
「でも球種がわかっていたら抑えきれないですよ?」

ここまでの結果がそれを物語っている。このままでは試合が決まりかねない状況にも関わらず、指揮官は得意の継投に出ない。

「球種がバレてても問題ない。桃子にはわかっていても打てない球種が二つ……それの相乗
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