第二部 1978年
ミンスクへ
青天の霹靂 その2
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セバストポリの急襲は、東側諸国に再び緊張感を与えた
48時間以内に出撃可能なように準備がなされたが、結論から言えば杞憂であった
米軍も一時的にデフコン3の指示をトルコ駐留軍に出したが、BETA群の侵攻は無かった
寧ろ恐ろしいほどの沈黙と停滞が起きたのだ
深夜、再招集を掛けた時、ヴィークマンの様子がおかしいのが判った
彼等を纏めるベルンハルト中尉は、ハンニバル大尉に相談する
傍から見ても本調子ではなく、軍医の所にヤウクと共に無理やり連れて行く
カッツェが、青い顔をしていたのに気が付く
何か、あったのであろうか……
「貴様も、顔が青いぞ」
ベルンハルト中尉は、幼馴染に問うた
「大したことではない……」
青い顔をする同輩を窺う
「ヴィタミン不足か何かだろうな……」
BETA戦争以降、ソ連経由の石油資源に飽き足らず、生鮮食料品不足が深刻だ
ボルツ老人が嘗て話してくれたように、ベルリン市中に壁ができる前であれば、西ベルリン側に買い出しに出かけられた
其れも出来ぬ今、柑橘類など、まさに宝石のような価値ある存在になりつつある
バナナなど南洋の産物はしばらく目にかけていない
ジャワ産のコーヒーや果実など、日本人が来た時、数年ぶりに食べた
何とも言えぬ味でもあった
「生野菜でも齧れば違うだろうが……、俺もこればかりはどうすることも出来ん」
「なあ、カッツェ。彼女の様子はどうだ。
俺は構ってられんからな……。貴様ならわかるだろう」
「アイツはここの所、食欲がないんだ……。左党で何でも飲む女なのにみんな吐き出しちまう……」
後ろから来たヤウクが、驚いた顔をしている
「まさか、君達の関係がそこまで進展したとは思いもよらなかったよ。
僕の管理責任不足だ」
彼は、ヤウクのその発言を聞き逃さなかった
「貴様、どういうことだ。隊長はハンニバル大尉、主席幕僚は俺だ。
寝ぼけてるのか」
掌を上にして、お道化た表情を見せる
「本当に君は何も知らないんだね。ユルゲン。
彼等は、暇さえあれば逢瀬を重ねていたのさ。
そうであろう、同志・カッツェ・少尉」
些か、煽るような口調でカッツェに告げる
「お前らさあ、何が言いたいんだよ。
こんな時に喧嘩してる暇なぞ無いだろう」
その様なやり取りをしていると先任曹長と軍医が表れる
疲れ切った表情の軍医は、彼等に尋ねてきた
「君たち、医務室に来なさい。
此処で話は憚られる」
腕を組んで立つ曹長に、彼は問うた
「同志曹長、どういう事でありましょうか」
勃然とした態度で、彼に応じる
「貴方方の胸に、聞くべきではありませんかな。
同志ベルンハル
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